空き家の増加が問題となっていますが、裏を返せば「空き家を有効活用するビジネスなら、素材が安く大量に入手できる」というチャンスでもあります。また、空き家問題の解決によって社会に貢献できるという点も、空き家ビジネスの利点です。
そのような理由で空き家ビジネスに興味を持っている人も多いでしょう。このビジネスに興味を持ったとき、特に気になるのは下のような点かと思います。
- 空き家を活用するビジネスモデルは、どのようなものがあるか
- 実際に成功した企業では、どこが有名か
- 新しいモデルで起業したベンチャーには、どんな例があるか
- 都会でなく田舎で成功した例はあるか
- 失敗する原因やリスクは何か
この記事では、上記の5つのポイントを中心に「空き家ビジネスのモデル」について解説していきます。「空き家ビジネスで起業したい」「空き家を有効活用したい」と考えている人には、きっと参考にしていただけるでしょう。
- リフォームや民泊など、主に9つのビジネスモデルがある
- しかし、どのモデルも軌道に乗せるのは難しい
- ビジネスで成功しやすい物件なら、そもそも空き家にならない
- 難しいと感じたら、解体して土地として活用するのもあり

空き家のビジネスモデルや、有効活用の方法は多くあります。しかし「どの方法でも活用が難しい空き家」も存在します。その場合「更地に戻して土地として活用する」という流れになることも多いでしょう。
そのように土地として活用する場合、活用のプランを複数の不動産会社から取り寄せるのがおすすめ。プロの知識と経験を元に、成功率が高く大きな収益を見込めるプランを提案してもらえます。
複数の不動産会社のプランを一括で取り寄せるには、上の画像の「タウンライフ土地活用」を利用するのがおすすめです。簡単な情報入力で、全国200社以上の優良業者から、複数社の収益最大化プランを取り寄せることができます。
利用は完全無料で、入力作業も3分程度と簡単です。「空き家を土地として活用する」という方法を考えている方は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。
Contents
空き家ビジネスのモデルは?9つの事例・パターンを紹介
まず、空き家を活用したビジネスモデルを一覧にすると、主なもので下の9つがあげられます。
以下、それぞれのビジネスモデルについて詳しく解説していきます。
リフォーム業
空き家を売るにしても賃貸に出すにしても、多くのケースではリフォームが必要となります。そのため「空き家のリフォーム業」は、安定して受注をしやすい、空き家ビジネスの代表的なモデルといえます。
実際、東証1部に上場するほどの大成功を収めているカチタスなども、このモデルで成功しています。
管理代行業
多くの空き家のオーナーさんは、その管理で困っています。そのため、管理業務を代行するビジネスは今後さらに需要が拡大すると見込めます。
なお、管理代行の中でも特に「雑草対策」については、下の記事で詳しく解説しています。
売買仲介業
空き家の売買を仲介します。「普通の不動産屋」の業務です。「リフォームをした方が売れるのでは?」と思うかもしれませんが、「リフォームは自分でしたい」という買い手もいます。そのような人には「そのまま売却する」方がいいのです。
なお、このように空き家を買い取って売却している業者については、おすすめの会社を下の記事で紹介しています。
マッチング業
画像引用元:家いちば
空き家を持っている人、空き家を買いたい人(あるいは住みたい人)を結びつけるサービスです。売買仲介業との違いは「情報サイトなどの運営が主」ということです。
- 売買仲介業…昔ながらの不動産屋
- マッチング業…サイト・アプリなどがメイン
要は、事業をするあなたが「物件」を扱うか「情報」を扱うか、という点が異なります。なお、マッチング業で有名なのは、上の画像の「家いちば」です。
民泊業・宿泊業(ゲストハウスなど)
観光での需要がある立地なら、民泊で貸し出すこともできます。Airbnbなどのサービスを使えば、外国人観光客にもアピールしやすく、お金のやり取りも間に立ってもらえるため、安心です。
短期間の宿泊提供なら「民泊」として、法律的にはグレーゾーンとなります。しかし、長期的に継続して貸し出すなら、宿泊業として「旅館業法上の許可」をとる必要があります。
このため、大きなビジネスとして展開する場合には、少々手続きが複雑になります。しかし「とりあえず小さなビジネスを試してみたい」という場合、民泊なら比較的手軽に始められるでしょう。

飲食業(古民家カフェなど)
空き家が古民家などの趣のある建物の場合、飲食業に活用する例も多く見られます。「古民家カフェ」がその代表的なものですが、他にも古民家レストラン・そば屋・うどん屋など、さまざまな業態が考えられるでしょう。
飲食運営に関するノウハウが必要ですが、こうしたノウハウがあるなら取り組む価値のあるビジネスモデルといえます。
倉庫・トランクルーム業
画像引用元:モノオク
空き家を倉庫やトランクルームとして活用します。これは「自分が空き家を提供する側」としては、スモールビジネスになります。逆に「提供する人たちのプラットフォームを運営する」側だと、大きなビジネスモデルになります。
プラットフォームの例
これは、下の2つが特に有名です。
特にモノオクは、写真を見る限り「いかにも空き家」という感じの和室の物置なども多く、空き家の需要があると考えられます。
駐車・駐輪スペースレンタル業
画像引用元:akippa
空き家でも「駐車スペースが付いている」という物件は多くあるでしょう。そのような場合、その「1台や2台の分だけ」で、駐車スペースをレンタルして利益を出せます。
これも上の段落の「物置やスペースのシェア」と同じように、そうしたサイト・アプリを使うことで可能です。たとえば、上の画像の駐車場予約アプリ「akippa」などです。
「駐輪場」でも同じビジネスモデルが成り立つ
駐車場だけでなく「駐輪場」でも、同じビジネスモデルが成立しています。すでに利用者が集まっているサービスとしては、下のようなものがあります。
駐輪場は、自転車だけでなくバイク・原付の駐車場という選択肢もあるでしょう。駐車場にしても駐輪場にしても、
- 自らスペースを提供する(簡単で、利益は少額)
- プラットフォームを構築する(難しいが、利益は大きい)
という、大小2つのビジネスモデルがあります。なお、空き地での駐車場経営については、下の記事で詳しく解説しています。
個人での空き家再生(不動産投資)
不動産投資も、個人レベルではありますが1つのビジネスモデルです。そして、その不動産投資を、
- 空き家を買い取る
- 自分でリノベーションする
- それで売却・賃貸する
という流れで行う方法もあります。これについては下の記事で詳しく解説されています。
【参考】フリーターでもOK!「空き家」再生で儲ける方法って?(ハーバービジネス・オンライン)
空き家ビジネスの企業はどこが有名?2社の成功例を紹介
空き家ビジネスについて調べていると「実際にこれで大きな成功をおさめた企業はあるのか」という点が気になるでしょう。ここでは、そのように大きな成功を収めた2社の事例を紹介します。
カチタス…空家再生で東証1部上場
画像引用元:カチタス・公式サイト
空き家ビジネスで最も成功した企業の1つは、カチタスといえます。ここでは、同社の事業について下のような項目に分けて説明します。
以下、それぞれ詳しく解説していきます。
中古住宅をリフォームして「価値を足す」事業
カチタスは、名前のとおり「中古住宅に価値を足す」事業を展開しています。空き家を含めた中古住宅をリノベーションし、高い付加価値を与えた上で販売する、というビジネスモデルです。
会社概要での事業内容も「中古住宅再生事業」と1つに絞られているため「空き家ビジネスで成功した大企業」といえるでしょう(すべての中古住宅が空き家というわけではありませんが、空き家もかなり多いはずなので)。
全国に100店舗以上
カチタスの店舗は全国に100以上あります(2019年9月時点)。「中古住宅をリフォームして売る」という、人生の中でも特に大きな決断をして相談するための店舗が、どの都道府県でも2~3店舗あるということです。これは相当な普及率といえるでしょう。
企業の最高ステータス「東証1部上場」である
非上場でもすぐれた企業は多くありますが、東証一部に上場するのは、企業にとって最高のステータスの1つといえます。上場のランクを説明すると、下のようになります。
- 各地に「証券取引所」がある
- 一番格上なのは東京(東京証券取引所=東証)
- 名古屋の名証、札幌の「札証」などは、やや下の扱い
- それぞれの取引所の中に「1部」と、それより下のランクがある
- 東証は「1部・2部・マザーズ・JASDAQ」がある(マザーズとJASDAQは同レベル)
- 東証1部にストレートで行くことはできず、まずは2部やマザーズから上場する
上記が上場の仕組みですが、このような仕組みから「あらゆる上場の中でも、日本では東証一部が最高」とされています。なお、さらに上のソフトバンクなどの企業になると、海外での上場も行っています。
何にしても、空き家を含めた中古住宅を再生するビジネスで、東証1部に上場できるほどのニーズがあるということです。
カチタスの会社概要
株式会社カチタスの会社概要は、下のようになります。
社名 | 株式会社カチタス |
---|---|
設立年月日 | 昭和53年9月1日 |
代表取締役 | 新井健資 |
資本金 | 37億7,887万1,000円(平成31年3月31日現在) |
上場市場 | 東京証券取引所第一部(証券コード8919) |
事業内容 | 中古住宅再生事業 |
本社所在地 | 群馬県桐生市美原町4番2号 |
0円リノベFREE(新興エステート)
画像引用元:0円リノベFREE・公式サイト
「0円リノベFREE」は、名前通り「無料でリノベーションをする」サービスです。正確には、
- 空き家物件で、
- オーナーさんの負担を0円にする、
- 「空き家再生特化型」のリノベーションサービス
です。カチタスは「中古住宅」が対象ですが、こちらは「空き家限定」ということで、100%空き家ビジネスといえます。
リノベーションして何をするのか
画像引用元:0円リノベFREEとは?(公式ページ)
これは「転貸」です。
- 0円リノベFREEが、物件をリフォームする
- そして、入居者を探して転貸しする
- 管理・退去の対応などもすべて0円リノベFREEがやる
- オーナーは何もしなくていい、お金も出さない
- 代わりに、転貸による利益は0円リノベFREEのものになる
- オーナーは、0円リノベFREEに家を貸す賃料を得られる
つまり、0円リノベFREEが「リフォームも管理も全部やってくれる」「賃料も払ってくれる(オーナーの収入になる)」ということです。オーナーにとっては、基本的に「プラスしかない」サービスです。
なぜそれがビジネスとして成り立つのか
これは「見込みがある物件」に絞るためだと思われます。おそらく、どんな物件でも受けられるわけではないでしょう(転貸をする以上、限界集落などの空き家は当然不可です)。
つまり、「0円リノベFREEがやることを、自分で全部やったらオーナーの利益はもっと大きくなる」ということです。しかし、実際にはリフォームも入居者募集も賃貸管理も全部やるのは難しいもの。不動産投資家ならともかく、一般人がやるのはほぼ不可能といえるでしょう。
そのため、0円リノベFREEがそれを代行し、一定の利益を得るということです。オーナーは利益が小さくなる代わりに「労力やコストを出さなくていい」ということです。
特徴は「5つの負担ゼロ」
0円リノベFREEで無料になるのは、具体的には下の5つです。
- 改修費用
- 空き家を保有しているだけでかかる費用(固定資産税・火災保険料など)
- 賃貸中の修繕・原状回復などの工事費用
- 入居者募集・退去調整・トラブル対応などの費用
- サブリース(転貸)期間中の空室リスクによる損失
運営会社・新興エステートの会社概要
「0円リノベFREE」のサービスを提供する、新興エステートの会社概要は下の通りです。
サービス名(屋号) | 0円リノベFREE |
---|---|
会社名 | 株式会社 新興エステート |
設立年月日 | 2007年1月10日 |
資本金 | 3000万円 |
代表取締役 | 松田信義 |
所在地 | 東京都新宿区西新宿6-12-1 パークウエストビル11階 |
設立から12年以上が経過しており、資本金も3000万円と、安定した中堅企業であるといえます。
空き家ビジネスで起業したベンチャー・2社の事例を紹介
「空き家ビジネスでベンチャーとして起業したい」と考えている人もいるでしょう。ここではそのような人のヒントとなるよう、空き家ビジネスで起業したベンチャー企業の事例を2つ紹介します。
空き家活用株式会社
画像引用元:空き家活用株式会社・公式サイト
空き家活用株式会社は、文字通り「空家の有効活用」を事業とするベンチャー企業です。主に下の3つの事業に取り組んでいます。
BtoB | 不動産企業等に対する空き家情報の提供サービス |
---|---|
BtoBtoC | 空き家利活用プロデュース |
CtoBtoC | 空き家所有者と利用者のマッチングプラットフォーム構築 |
以下、それぞれの事業について、同社の「空き家活用について」のページを参考に紹介させていただきます。
BtoB…不動産企業等に対する空き家情報の提供サービス
このBtoBはわかりやすいでしょう。不動産企業という「B」に対して、空き家活用株式会社という「B」が、情報を提供するということです(B=Business)の略です。
BtoBtoC…空き家利活用プロデュース
これについては、公式サイトで「所有者と利用者へのアプローチは様々な企業と連携することで独自に構築」と書かれています。つまり、BtoBtoCの内訳は下のようになります。
1つ目…B | 空き家活用株式会社 |
---|---|
2つ目…B | 他の不動産会社 |
3つめ…C | 消費者(空き家の所有者と、買いたい・借りたい利用者) |
このように「他の不動産会社を通して、空き家の売手・買手・貸手・借手に関わるということです。
CtoBtoC…空き家所有者と利用者のマッチングプラットフォーム構築
これはそのままで「空き家の持ち主と、住みたい人をつなぐ場をつくる」ということです。CtoBtoCの内訳は、それぞれ下の通りです。
1つ目…C | 空き家所有者 |
---|---|
2つ目…B | 空き家活用株式会社 |
3つ目…C | 空き家利用者・購入者 |
プラットフォームの構築方法はさまざまですが、たとえば空き家バンクのようにサイトを活用する方法などがあります。
会社概要
空き家活用株式会社の会社概要は下の通りです。
会社名 | 空き家活用株式会社 |
---|---|
代表者 | 代表取締役社長・和田貴充 |
所在地 | 東京都港区北青山三丁目3番13号 共和五番館2F |
電話番号 | 03-6426-5734 |
【参考】会社概要(空き家活用株式会社)
ハロー!RENOVATION(エンジョイワークス)
画像引用元:ハロー!RENOVATION・公式サイト
ハロー!RENOVATIONは、ベンチャー企業・株式会社エンジョイワークスが運営する「まちづくり参加型クラウドファンディング」のサービスです。空き家や遊休地の活用に関して、下の三者をつなぎます。
物件オーナー | 空き家を持っている人 |
---|---|
プロジェクトリーダー | 空き家ビジネスを始めたい人 |
投資家 | 上のリーダーに投資をしたい人 |
「参加型クラウドファンディング」の具体的な内容は?
まず、前述の3者(オーナー・リーダー・投資家)については、上に書いた通りの役割で参加します。そして、それ以外の人たちは、下のような役割で参加できます。
- 意見交換
- DIYイベント
- プロフェッショナル・サポート
意見交換では、空き家・空き地の活用についてさまざまな意見を出し合います。DIYイベントは、空き家のリフォームなどの作業を実際に行うなどの内容です。
プロフェッショナル・サポートは、「その分野の専門家としての参加」です。専門家のジャンルはさまざまですが、たとえば下のような職業があげられます。
- 大工
- 税理士
- 電気工事士
- Webデザイナー
他にも、プロジェクトによって必要とされる専門家はそれぞれ異なります。自身の専門スキルが必要とされる場面で、それを提供することによってハロー!RENOVATIONに参加します。
【参考】参加型クラウドファンディング(ハロー!RENOVATION)
マネタイズの方法は?
これは、ホームページ上では明確に書かれていません。どちらかというとNPOに近いプロジェクトかもしれません。
運営会社の株式会社エンジョイワークスは、神奈川県から「不動産特定共同事業者」に認定されています(神奈川県知事・第9号)。この点からも、私企業としてバリバリ利益を出すというよりは、NPO寄りのプロジェクトではないかと考えられます。
なお、社歴約12年の同社をベンチャー企業と呼ぶかですが、これは下のように「2019年にベンチャーキャピタルから資金調達をしている」ことでわかります。
【参考】ベンチャーキャピタル等より 6,000万円のプレシリーズA資金調達を実施(エンジョイワークス・プレスリリース)
エンジョイワークスの会社概要
ハロー!RENOVATIONの運営会社である、株式会社エンジョイワークスの会社概要は下の通りです。
会社名 | 株式会社エンジョイワークス |
---|---|
代表者 | 代表取締役・福田和則 |
設立年月日 | 2007年11月29日 |
資本金 | 1000万円 |
所在地 | 神奈川県鎌倉市由比ガ浜1-10-9 |
社員数 | 52名(パート・アルバイト含む)※2019年6月末現在 |
【参考】会社概要(エンジョイワークス)
田舎での空き家ビジネスの成功例・2選
空き家ビジネスでも、舞台が都会か田舎かでは、内容がまったく異なってきます。ここでは田舎での成功事例を2つ紹介しましょう。
里美古民家の宿「荒蒔邸」
画像引用元:里美 古民家の宿「荒蒔邸」
里美古民家の宿「荒蒔邸」の、空き家ビジネスとしてのポイントをまとめると下の通りです。
以下、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
茨城県常陸太田市の山中にある
荒蒔邸があるのは茨城県常陸太田市の「里美地区」です。ここは下の画像の「里美牧場」もあるほど、自然が豊かなエリアです。
画像引用元:里美牧場/プラトーさとみ | 常陸太田市観光物産協会
この牧場は関東最大級の牧場(敷地面積520ha)です。そのような牧場がある点で、関東有数の自然が豊かな地域といえます。
なお、荒蒔邸がある大中町(旧里美村)は、過疎地指定も受けています。これは、「常陸太田市・里美支所が大中町にある」ことと、「常陸太田市過疎地域自立促進計画」で、旧里見村が対象地域に入っていることでわかります。
NPO法人遊楽(ゆうがく)が運営
荒蒔邸を運営しているのは、NPO法人の「遊楽」です。同法人は「2007年8月29日」に設立認証されました。法人番号は「1050005008660」です。
築150年の古民家を極力残して改装
荒蒔邸は、築年数が約150年の古民家を、できるだけ変更せず、伝統的な造りを残してリノベーションしました。間取りは下のようなものです。
広さは約80坪(建坪)で、現代風にいうと「5LDKKKS」です。Kが3つあるのは、通常の台所が1つと、業務用厨房が2つあるためです。各部屋の写真は下のようになっています。
いろりやカウンターバー、かまどや大広間など、非常におしゃれに改装されています。
【参考】荒蒔邸・施設紹介
会員(年会費1万円)が利用できる
荒蒔邸を使うには、まずNPO法人遊楽の会員になる必要があります。この年会費が個人で1万円です(法人は10万円)。
なお、この会員権は荒蒔邸だけでなく「里美農家の宿・沼田邸」も利用できます。下の画像の施設です。
画像引用元:里美農家の宿・沼田邸
入会費は無料で、年会費のみとなっています。なお、法人会員はホームページにバナーリンクも設置してもらえます。これは、空き家ビジネスとしては「広告収入を得る手段の1つ」といえるでしょう。
宿泊費は1泊1名3000円(小学生未満は無料)
実際に荒蒔邸を利用するときは、年会費とは別に利用料金を払う必要があります。料金は下記のようになっています。
内容 | 金額 |
---|---|
宿泊 | 3000円(1泊1名) |
施設利用(11時~14時) | 500円(1名) |
施設利用(夜間) | 1000円(1名・応相談) |
炭 | 1100円~ |
薪 | 500円 |
ストーブ使用 | 500円(灯油別) |
宿泊に食事はつきません。つまり、上記は「食事なし」の料金です。しかし、食事についても下のようなサービスに別料金で対応しています。
- 完全な食事(料理)の提供
- ケータリング(仕出し)
- 食材のみ手配(自炊したい人向け)
料理の提供には調理師などの資格が必要となるため、おそらく近くの飲食店や弁当店などと提携しているものと思われます。何にしても、空き家ビジネスを考える上で、こうした「実際の金額表」は、できるだけ多く参照し、収支のシミュレーションをすべきでしょう。
【参考】荒蒔邸・利用内容
伊勢河崎商人館…自治体による空き家ビジネスの成功例
画像引用元:伊勢河崎商人館
自治体が取り組んで成功を収めている空き家ビジネスの事例として「伊勢河崎商人館」のケースがあげられます。この概要をまとめると、下の通りです。
以下、それぞれ詳しく解説していきます。
江戸時代創業の酒問屋の建物を修復
画像引用元:伊勢河崎商人館・案内(公式サイト)
伊勢河崎商人館は、江戸時代に創業された老舗の酒問屋「小川酒店」の建物を修復整備したものです。市民の要望によって起きた動きで、伊勢市が土地を購入し、建物の寄贈を受けて整備しました(移築したものと思われます)。
建物は国の登録有形文化財になっている
伊勢河崎商人館の建物は、国が指定する「登録有形文化財」になっています。
- 蔵……7棟
- 町家…2棟
- 敷地…約600坪
上記のような内容で、すべての建物が登録有形文化財です。
入館料は300円(子供100円・学生200円)
伊勢河崎商人館の収入源の1つは入館料です。これは下のようになっています。
区分 | 料金 |
---|---|
大人 | 300円 |
大学生・高校生 | 200円 |
中学生・小学生 | 100円 |
つまり「100円~300円」ということです。入館料は非常に安いといえます。
レンタルスペースとしても開放している
伊勢河崎商人館は、レンタルスペースとしても開放されています。たとえばメインの河崎角吾座(かどござ)の場合、時間帯によって下のような料金になっています。
時間帯 | 料金 |
---|---|
午前(9:30~12:00) | 3180円 |
午後(12:00~17:00) | 6680円 |
夜間(17:00~22:00) | 6680円 |
全日(9:30~22:00) | 16450円 |
河崎角吾座とは、昔河崎にあった芝居小屋にちなんだ名前です。下のようなスペースです。
和室と違って靴で歩くことができ、スペースも広いため、日本画・水墨画・生花などの和風アートの個展に最適なスペースといえるでしょう。
オリジナルの明治復刻サイダーも販売
前述のとおり、もともと伊勢河崎商人館は「小川酒店」の建物でした。この小川酒店は、明治42年から上の画像のような「エスサイダー」という商品を製造していました。
伊勢河崎商人館ではこれを復刻し、1本200円で販売しています。復刻にかかるコストと、量産できないことを考えれば1本200円というのは、それほど利益の出る価格ではないでしょうが、文化を保存する上で価値のある取り組みといえます。
空き家ビジネスはハイリスクで儲からない?失敗の原因は?
空き家ビジネスについて研究していると「リスクが高い」「儲からない」というネガティブな評判を耳にすることもあるでしょう。ここでは、空き家ビジネスがそのように言われる理由、失敗する人の原因などを説明していきます。
利益が出る物件は、そもそも空き家になりにくい
これは店舗などの事業用物件でも言えることですが、利益が出る物件は、それぞれの業界の業者が常に目を光らせて探しているもの。そのため、長期間空き家・空き物件のままということはないのです。
稀に「見落とされている」ということもありますが、やはり例外的なパターンです。空き家になっている時点で、もともと利益を出しにくい物件であることは、理解しておきましょう。
フランチャイズでも、利益が出るとは限らない
最近は、空き家ビジネスのフランチャイズ企業も登場しています。このようなFCに参加すると、簡単に成功できるイメージを持っている人もいるでしょう。
確かに、FC展開されている時点で、その市場が大きいことはわかります。しかし、コンビニの経営で苦しんでいるオーナーが多いように、空き家ビジネスのフランチャイズでも、必ずしも利益が出るとは限りません。
コンビニのように「同じFCの店舗をすぐ近くに出店される」などのことは、あまりないでしょう(空き家ビジネスに取り組む人自体が少ないため)。しかし、それでも「本人の努力が相当に必要」ということは確かです。
空き家ビジネスでも、その他の業界でも「フランチャイズに加盟するだけで安心」と思っているオーナーさんはわずかながら存在します。そのような方は、失敗するリスクが高いと考えてください。
解体して更地として売る・活用するのもあり
空き家のままでのビジネスが難しいと判断したら、いさぎよく解体して更地にするという選択肢もあります。その場合、土地として単純に売ってもいいですし、土地で駐車場の経営をするなど、さまざまな活用方法が考えられるでしょう。
更地にして売る「更地渡し」については、下の記事で詳しく解説しています。
また、空き家のまま売却する方法については、下の2記事を参考にしていただけたらと思います。
まとめ
最終的に空き家ビジネスを何か始めるにしても、始めないにしても「空き家を解体して、土地として活用する場合の選択肢」について知っておくことは重要です。そして、その選択肢についてもプロのアドバイスを聞いておくべきといえるでしょう。
土地の活用についてプロのアドバイスを受けるなら、下の「タウンライフ土地活用」がおすすめです。空き家をそのままビジネスに使うことだけにこだわらず、視野を広げるためにも、一度タウンライフの公式サイトをチェックしていただくといいでしょう。

タウンライフ土地活用では、全国200社以上の優良業者から、複数社の土地活用プランを取り寄せることができます。200社の中には住友不動産・積水ハウスなどの大企業も多数存在し、レベルの高い提案を期待できるサービスです。
完全無料で利用でき、入力作業は3分程度で終わります。空き家を解体した後での土地の有効活用を考える上で、非常に便利なサービスのため、ぜひお気軽に試してみてください。