不動産の名義変更での司法書士相場(費用)はいくら?書類の発行手数料・登録免許税も解説

不動産の名義変更は司法書士に依頼することが多いもの。重要な手続きは専門家に任せる方が安心ですが「費用の相場はいくらくらいなのか」という点も気になるものです。

この記事では、不動産の名義変更での司法書士費用の相場をまとめます。「これから不動産の名義変更をするが、司法書士に依頼するかどうか迷っている」という方に、特に参考にしていただけるでしょう。


なお「費用を安くするため、自分で名義変更をしたい」と思っている方もいるかと思います。自分でやる方法やかかる費用については、下の記事を参考にしてみてください。

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2019.02.08
この記事を読んでわかること
  • 不動産の名義変更にかかる司法書士費用の相場
  • 司法書士報酬以外でかかる費用
  • 不動産の名義変更にかかる時間(期間)
  • 共有持分の名義変更の司法書士報酬

不動産の名義変更での司法書士の費用相場

積木の家と電卓

不動産の名義変更を司法書士に依頼するときの費用相場は、おおよそ下のようになります。

以下、それぞれ解説していきます。

名義変更のみ…3~5万円

名義変更をするだけの場合、司法書士の費用相場は大体3万円~5万円です。名義変更をするには住民票・印鑑証明書などの各種の書類が必要になりますが、それはすべて「自分で用意する」(司法書士は用意しない)という条件になります。

必要書類の収集も代行…7~10万円

住民票など、すべての必要書類の収集も司法書士にまかせるとなると、相場は大体7~10万円程度となります。住民票程度なら誰でも簡単に取得できるかもしれません。

しかし、固定資産評価証明書や、相続での「改製原戸籍」などが絡んでくると「自分で書類をすべて揃えるのは難しい」と感じる人が多いでしょう。このようなケースでは「すべてお任せ」が便利といえます。

相続全体の手続きを代行…20~25万円

不動産の名義変更が一番多いケースは相続です。相続の場合、不動産だけでなく現金・有価証券・自動車などあらゆる資産について相続の手続きをする必要があります。

これらの作業もすべて司法書士にまかせると、大体報酬相場は20~25万円です。ただし、これは相続人の数や遺産の金額・種類の多さなどによって異なります。そのため、あくまで目安と考えてください。

司法書士への報酬以外でかかる費用は?

お金

「司法書士への依頼報酬以外では、どんな費用が発生するのか」という点も気になるでしょう。これを箇条書きすると、下の通りです。

以下、それぞれ解説していきます。

各種書類の発行手数料…1通350~750円

不動産の名義変更には、役所が発行する書類が必要です。どの書類が必要かは、ケースによって異なります。一番書類が多いのは相続です。

不動先生
書類ごとの発行手数料(1通あたり)を一覧にすると下のようになります。
戸籍謄本 450円
住民票 300円
登記簿 600円
固定資産税評価証明書 300円
戸籍の附票 300円
改製原戸籍 750円
除籍謄本 750円
不在住証明・不在籍証明 300円
売野くん
高いのは、改製原戸籍と除籍謄本の「750円」ですね。
不動先生
改製原戸籍は「過去の戸籍」で、除籍謄本は「死んで抹消された戸籍」ということで、特殊なので高くなります。

登録免許税…不動産の評価額の0.4%~2.0%

登録免許税は「不動産の名義変更の手数料」です。不動産の名義は登記簿に書かれています。その登記簿の名義を書き換える手数料が登録免許税です。

この登録免許税の税率は、評価額の0.4%(1000分の4)~2.0%(100分の2)と決まっています。評価額とは「固定資産税評価額」です。これは不動産がある市町村の役場で「固定資産評価証明書」をもらうとわかります。

国税庁の説明

国税庁では下のように税率を説明しています。

所有権の保存 1000分の4
相続・法人の合併による所有権の移転 1000分の4
売買・競売による所有権の移転 1000分の20
その他の所有権の移転 1000分の20

登録免許税の税額表(国税庁)

評価額別の登録免許税・一覧

大体の登録免許税の金額がわかるよう、主な金額帯の評価額ごとに、登録免許税を一覧にします(これは0.4%の場合です。2.0%の場合は、それぞれ5倍してください)。

  • 100万円…4000円
  • 500万円…2万円
  • 1000万円…4万円
  • 2000万円…8万円
  • 5000万円…20万円

これで、「自分の登録免許税が大体いくらになるか」という検討がつくかと思います。一般的な不動産の名義変更で5000万円を超えるケースは少ないので、登録免許税は「一番高くて20万円程度」と思っていただくといいでしょう。

売野くん
まあ、5000万円以上の不動産を売買や贈与できるくらいなら、登録免許税を気にするまでもないですよね。
不動先生
もちろん金銭感覚は人によりますが、累進課税でないという点では、高額の取引で不利になることは、あまりありませんね。

相続では登録免許税がかからない

登録免許税は、相続では免税(非課税)となります。2018年4月~2021年3月の4年間のみですが、この期間なら相続の登録免許税を気にする必要はありません。

(相続での名義変更については、下の記事をご覧ください)

亡くなった親の土地の名義変更は必要?しないと&遅れるとどうなる?

2019.02.07

実費…司法書士の交通費など

司法書士事務所によっては、実費を請求することもあります。実費の具体例は下のようなものです。

  • 封筒・切手などの費用
  • 司法書士の交通費
売野くん
何か細かいですね…。
不動先生
はい。交通費は場所によっては重要になりますが、実費は全体的に少額なので、請求しない司法書士も多いです。

不動産の名義変更にかかる時間(期間)

カレンダー

司法書士に不動産の名義変更を依頼すると、どのくらいの時間・期間で登記が完了するのか、という点も気になるでしょう。これについてポイントをまとめると下のようになります。

以下、それぞれのポイントについて説明します。

法務局への申請後は、1~2週間

まず、明確に決まっているのはこの点です。司法書士がすべての書類を揃えて法務局に提出(申請)したあと、大体1~2週間で名義変更が完了します。

これは、実際に法務局に申請するとわかります。窓口で「○日には完了するので、それ以降に来てください」と言われるのが一般的です。

何のために法務局に再度行くのかというと、登記識別情報(登記済権利証)を受け取りにいくためです。郵送してもらう方法もありますが、受け取る場合は、上記のように日付を指定されます。

筆者が自分で登記をした体験談

筆者のときは、贈与による名義変更(所有権の移転登記)をしました。そのときは1週間で完了でした。

しかし、最短だと3日程度で完了しているように見えます。というのは、筆者が法人登記をしたときは、3日後には完了していたためです。

そして、上記の名義変更でも1か所だけ不備があったのですが、その連絡が来たのが確か2日後でした。「この不備がなかったら、そのまま登記されていたんだろうな」と思う状況だったため、「最短3日」と推定しました。

ただ、仮に最短3日だったとしても、名義変更は「新たな所有者が、登記識別情報を受け取って初めて完了する」ものです。その登記識別情報を受け取れるのが1週間~2週間後なので、やはりこれが必要な日数(期間)となります。

司法書士への依頼~申請は、最短即日

役所が処理をする期間は、上記のように固定されています。変動する要素があるとしたら司法書士の作業時間です。

これは案件によりますが、司法書士はプロなので、ほとんどの事務所が「最短即日」となります。もちろん、当日の何時に申し込んだかにもよりますし、手続きの内容にもよります。

確かなことは、司法書士にとって不動産の名義変更はそれほど難しい仕事ではないということです。必要書類をしっかり揃え、必要な説明もスラスラできる状態で依頼したら、当日中に申請してもらえることも多いでしょう。

自分が書類を揃えるスピードにもよる

法務局・司法書士の段階でかかる時間がわかったら、あとは「自分の段階でかかる時間」です。一番変動するのはここだと言っていいでしょう。

特に厄介なのは、家族・親戚など「他の人」が関わるケースです。相続では特にこのようなケースがありますが、こうした関係者の中にルーズな人がいると、住民票を集めるだけでも苦労します。

住民票や印鑑証明書には「3ヶ月以内のもの」などのルールがあるため、その期限が切れるとさらに厄介になります。「不動産の名義変更にかかる日数を知りたい」という場合、司法書士や役所のスピードを気にするより「自分のスピード」をもっとも気にするべきといえるでしょう。

共有名義の不動産での司法書士相場

緑背景の積み木の家

不動産が共有持分の場合、名義変更の司法書士報酬はどうなるのか、という点を知りたい方もいるでしょう。これについてポイントをまとめると下のようになります。

以下、それぞれ解説していきます。

トラブルがない限り、料金は特に変わらない

共有持分の不動産は何かと厄介なもの。そのため、司法書士の名義変更の報酬も高くなるのではないか、と思うかもしれません。

しかし、基本的に多くの司法書士事務所が「共有名義だから報酬を高くする」ということはしていません。中にはそうしている事務所もありますが、多数派ではないといえます。

ただ、これはあくまで「他の共有者とトラブルがない場合」です。何かトラブルが起きている場合は、費用が高くなる可能性もあります。

共有持分の名義変更のパターン

共有不動産で名義変更をするパターンは、主に下のようなものがあります。

なお、共有持分での名義変更全体について知りたい場合、下の記事をご覧ください。

共有名義不動産(共有持分)の名義変更のやり方は?メリット・デメリットも解説!

2019.02.07

売却(所有権移転)

売却をすれば、売り手のあなたから買い手に対して、名義が移ります。世間のイメージでは「名義変更=無償での贈与」というイメージがあるでしょうが、売却も贈与も同じ「名義変更」なのです。

共有持分の売却については、下の記事で詳しく解説しています。

共有名義(持分)の家を売却する4つの方法~必要書類・費用・期間を解説~

2018.09.11

共有物分割訴訟

これは、共有持分を「自分単独名義の不動産にする」ものです。たとえば土地だったら、下のようになります。

  • before…1つの土地を5人で共有していた
  • after…あなたが「5分の1の土地」を独立させ、そこの単独オーナーになった(前の土地は残り4人が共有)

これもある意味「名義変更」です。共有物分割訴訟について詳しく知りたい場合、下の記事を参考にしてみてください。

共有物分割請求訴訟とは?必要なケース&3つの分割方法を弁護士が解説!

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持分放棄

名義変更でなく「名義を捨てる」という方法もあります。特に親から相続した空家・山林など「これ以上持っていても面倒になるだけ」という場合に、その共有持分を放棄する人が多いものです。

共有持分の放棄の詳細は、下の記事で詳しく解説しています。

共有持分の放棄のやり方は?登記を拒否されたら訴訟をすればOK?

2018.12.23

抵当権抹消

名義変更とはやや違いますが、登記簿を書き換えるという点では、抵当権抹消も非常に似ています。共有持分の抵当権抹消については、下の記事をご覧ください。

共有名義(共有持分)の抵当権抹消手続きは1人でもできる!必要書類や費用のまとめ

2018.09.11

まとめ

司法書士の女性のイメージ

以上、不動産の名義変更での司法書士相場(費用)についてまとめてきました。最後に要点を整理すると下のようになります。

  • 「名義変更だけ」なら、3~5万円
  • 「必要書類の収集も任せる」なら、7~10万円
  • 住民票などの必要書類は、1通300円~750円
  • 司法書士の交通費などの実費が必要になることも
  • 登録免許税は「評価額の1000分の4」
  • 相続なら登録免許税は非課税

不動産の名義変更は、わずかな不備でも申請を却下されたりと、非常に難しいものです。当記事でまとめた司法書士の費用相場を見て「問題なく払える」と感じた場合は、自分で手続きをするより、司法書士に任せる方が無難で確実といえるでしょう。