田舎の土地は都会と比べ、活用の方法に工夫が必要です。とりわけ、田舎の中でも「過疎地」と分類されるレベルになると、さらに高度な工夫が必要になります。
そのような過疎地の土地を持っている方が活用の選択肢を考えるとき、気になるのは下のような点でしょう。
この記事ではこれらの疑問に答えつつ「過疎地の土地活用」について解説していきます。過疎地に土地を持っていて、その活用方法で悩んでいる方には、きっと参考にしていただけるでしょう。
- 土地活用の選択肢は、太陽光発電・戸建て賃貸など
- 一般人では有効な活用方法を考えるのは難しい
- 複数の専門家の意見を聞くべき

過疎地の土地活用は、通常の土地以上に難しいもの。そのような過疎地の土地活用を考える上でおすすめのサービスが「タウンライフ土地活用」。全国200社以上の優良業者から、複数社の土地活用プランを取り寄せることができます。200社の中には住友不動産・積水ハウスなどの大企業も多数存在し、レベルの高い提案を期待できるサービスです。
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Contents
過疎地での土地活用の選択肢は?おすすめの方法5選
まず多くの人が知りたいのは「過疎地での土地活用にはどのような選択肢があるか」という点でしょう。ここでは、過疎地で土地を活用する方法として、おすすめのものを5つ紹介します。
太陽光発電
太陽光発電は、過疎地にもっとも適した活用方法の1つです。理由は下のようになります。
- 人口が少なくても関係がない
- 交通の便が悪くてもいい
- 建物がない方がいい(日照が良くなる)
- 広大な土地が必要
このように、過疎地の不利な点がすべて「問題なし」となり、逆に「建物がない」などの、過疎地のマイナス面がプラスになるのです。
このような理由から、2010年代後半に過疎地で太陽光発電がブームとなりました。長崎県五島市の黒蔵町は、町をあげて太陽光発電をしているほどです。
長崎県五島市(福江島)の黒蔵町内会(48世帯)が太陽光発電事業に乗り出した。過疎化で町内会費の収入が減っており、売電で得た資金を運営費に充てる。
市の遊休地に太陽光パネル148枚を置き、年間約4万6千キロワット時を来春から発電する計画。約20年で事業費を回収し、将来は町内会費の無料化も目指している。
過疎の町内会が太陽光発電 長崎・五島、売電で運営(日本経済新聞)
太陽光発電は、自らするだけでなく「土地貸し」をする方法もあります。これについては下の記事で詳しく解説しています。
戸建て賃貸経営
賃貸経営をアパートやマンションではなく「一戸建て」で行うものです。この活用方法が過疎地で有効な理由は下のようになります。
- 「田舎暮らし」にあこがれている人は多い
- 特に、定年後の夫婦での住み替えに需要がある
言うまでもなく、過疎地を不便と感じるのは「人間だけ」です。動物にとっては過ごしやすい場所であり、都会では出会えない多くの生き物に出会えます。そのような生活に憧れる人は多いものです。
「定年退職したら、第二の人生は自然が豊かな土地で送りたい」と思っている人は少なくありません。そのような人に、過疎地の一戸建ては需要があるのです。
売買(持家)ではなく賃貸なのか?
これはもちろん、売買でも需要があります。ただ、家を建てて売るのは「活用」とは言わないため、ここでは賃貸にしぼって説明しています。
「住み替えの需要」とは?
60代に入ると、子供たちが全員独立したという家庭も多いものです。そうなると、それまで住んでいたマイホームが「夫婦二人では広過ぎていらない」ということもしばしばあります。
このようなときに住み替えを考える夫婦は多いものです。そのような夫婦に焦点を当てて、シニア夫婦が2人で暮らすためのバリアフリー&コンパクトな一軒家を賃貸に出すといいのです。
- バリアフリーなので快適
- コンパクトなので掃除・メンテナンスの負担も小さい
- 小さい分家賃も安い
上記のようなメリットが、借り手の夫婦にとってはあるわけです。このため、過疎地でも戸建ての賃貸住宅であれば、ある程度の需要を見込めます。
コンビニ経営
意外かもしれませんが、過疎地にもコンビニが広がっています。これは下記の日経メッセの記事でもわかります。
コンビニエンスストアが小型トラックを使った移動販売サービスを広げている。小売店が少ない過疎地などで弁当や日用品を届けて回る。セブン―イレブン・ジャパンは来春までに現在の2・5倍に当たる50台を稼働させる。ファミリーマートも同約4倍の15台に増やす。高齢化や地方の人口減少を見据え、通常の店舗では採算が合わない地域で運用する。
コンビニ、過疎地に参上、移動販売広がる、セブンやファミマ、専用車。(日経メッセ)
リンク先の内容を簡単にまとめると、下の通りです。
- 必ずしも利益が出るわけではない
- しかし、社会的な意義が大きい
- そのコンビニチェーンのイメージUPにもつながる
このような理由によって、コンビニFC本部の側から「あなたの土地を使わせてほしい」というオファーが来ることも多いようです。利益についても、通常の街中よりは厳しいものの、一部の店舗では利益も出ています。
また、利益が出なくても自治体の補助金などが出るため、店舗の経営としては問題なくやっていけるということです。
駐車場経営
過疎地の中には、海水浴場に近いなど、特定のシーズンで駐車場のニーズがある場所も多く存在します。特にこのような場所では、駐車場を経営するのも1つの選択肢といえるでしょう。
駐車場の経営については、下の記事を参考にしていただけたらと思います。
賃貸アパート経営
過疎地の中には、温泉や海などで人気の観光地もあります。このような場所では、「従業員の宿舎」として、賃貸アパートのニーズがあるものです。
また、海や山でのレジャーのために、小さなアパートを借りるという人もいます。サーフィンやスノーボードなどの活動拠点にするわけです。
このようなニーズもあるため、ワンルームで月の家賃が数万円などの低価格の賃貸アパートであれば、借り手もつきやすいといえるでしょう。
過疎地の土地を活用する注意点
どのようなことにも注意点はありますが、それは過疎地での土地活用でも同じです。ここでは、過疎地で土地活用を考える際の注意点を解説していきます。
やり方によっては、逆に赤字が膨らむ
過疎地でも都心でも「土地を活用して何かをする」というのは難しいものです。プロに相談すれば成功率は上がりますが、素人が浅い見識や能力で挑戦しても、うまくいく確率は低いでしょう。
「ノリ」で店舗などを建てても、多くの赤字を出しただけで撤退する、というパターンは非常に多く見られます。土地活用はしかるべき人に相談して正しい方法で実行しなければ、むしろマイナスになるということも理解しておきましょう。
火災など大きなトラブルが起きるリスクもある
飲食店などを経営する場合、火災のリスクもあります。これにより、近隣に被害が出て、高額の損害賠償が必要になるという事態も起こりえます。
確率は低いため、過剰に心配する必要はありません。しかし「何もしないときに比べ、何かしたときの方がこうしたリスクが高まる」ことは確かです。
これは過疎地の土地活用に限った話ではありませんが、何かをすれば、それに伴うトラブルのリスクも引き受けなければいけないということは、あらためて理解しておきましょう。
過疎地の土地活用が難しいのはなぜ?4つの理由を解説
さまざまな土地活用の方法はあるものの、現状では過疎地でこれらの方法に取り組んでいる人は少ないといえます。多くの選択肢があるにも関わらず、実際に取り組む人が少ないのはなぜか。ここでは過疎地の土地活用が無地4つの理由を説明していきます。
人口が少ない
過疎地は言うまでもなく人口が少ないエリアです。どのくらい少ないかを箇条書きすると、下のようになります。
- 日本全体で、過疎地域人口は1120万人である
- これは東京都の人口より260万人少ない(1385万人)
- 過疎地域の面積は、日本の国土の半分以上である(57.3%)
つまり「日本の半分以上という広大な土地」に「東京の人口より圧倒的に少ない人口」で暮らしている、ということです。過疎地の人口密度がいかに少ないかわかるでしょう。
(なお、東京より260万人少ないというのは、「大阪市と同じ人口分、少ない」ということです。過疎地の総人口が東京に追いつくには、大阪市を味方につけないといけないということです。そのくらいの大差があるのです)
データ出典一覧
インフラが整っていない
水道や電気、インターネットなどのインフラも、過疎地では整備されていないことが多いものです。特に致命的なのはインターネットでしょう。
水道と電気については「生きるために最低限必要なもの」として、よほどの限界集落でなければ整備されています。しかし、インターネットについては、限界集落までいかずとも「一般的な過疎地」でも、光ファイバーなどが使えないことが多いものです。
そもそも過疎地のインフラとは
過疎地で必要とされるインフラは、下のものです。専門家が論文の中でまとめている内容です。
インフラ | 具体例 |
---|---|
交通 | 道路 |
光熱 | 電気・ガス |
通信 | 電話・インターネット |
生活環境 | 公園・公営住宅 |
衛生 | 上下水道・廃棄物処理施設など |
福祉 | 病院・障害者施設・高齢者施設など |
文教 | 学校・図書館など |
治山・治水 | 堤防・防波堤など |
【参考】限界集落におけるインフラストラクチャーの維持管理・更新の妥当性評価手法(土木計画学院・論文集)
上の一覧を見て「自分が考えている土地活用には関係ない」と思う要素もあるかもしれません。たとえば学校などですね。
しかし、「自分には関係なくても、お客さんには関係がある」「そのお客さんが住みにくい土地である」ということが問題なのです。あらゆるインフラが揃っていて初めて「多くの人が住む」自治体が出来上がり、土地活用の選択肢も増えます。
それがないという点で、過疎地での土地活用は「相当工夫しなければ難しい」のです。
交通アクセスが悪い
過疎地は、自動車から鉄道まで、あらゆる手段で交通アクセスが悪いものです。行政もあらゆる工夫をこらしており、それは国土交通省の「地域公共交通の活性化・再生の事例集」というページで見られます。全国の過疎地での取り組みが、下記のように記されています(一部のみ抜粋します)。
自治体名 | 取組概要 |
---|---|
粟山町 | 町営バス(事業者撤退後の町営バス運行と都市再生モデル事業の実施) |
川西町 | デマンド型乗合タクシー(運営の工夫により財政負担の少ないデマンド型交通の導入) |
雫石町 | あねっこバス(一般タクシーを活用したデマンド交通) |
身延町 | スクールバス・病院患者輸送バス・廃止代替バスを整理再編した町有バス・町営バスの運行 |
何にしても「このような対策が必要なくらいアクセスが悪い」ということであり、自ずと土地活用も難しくなります。
市街化調整区域に指定されている土地が多い
画像引用元:市街化調整区域とは―家は建て替えできる?売れない可能性も?―(SUUMO)
過疎地では、市街化調整区域が多くなります。市街化調整区域とは「開発を抑制する地域」です。つまり、家や店舗を建てにくいということです。
ニフティ不動産では、下記のように説明されています。
市街化調整区域とは…
市街化を抑制する地域のことで、住宅や施設などを積極的に作って活性化を行わない地域のことです。市街化を目的とはしていませんので、人が住むために必要な一般的な住宅や商業施設などを建築することが原則として認められていません。
市街化調整区域とは?市街化区域との違いは?住宅の売買や土地購入にも建設許可申請がいる?(ニフティ不動産)
住宅も店舗も建てにくいということは、それだけ開発がしにくいということです。このため、自ら何かの事業をする場合も、誰かに土地を貸す場合も、制限があって不利となります。
なぜ過疎地でも土地の活用をすべきなのか~3つのメリットを解説~
過疎地の土地を活用すべき理由は、下のようなメリットがあることです。
以下、それぞれのメリットについて解説していきます。
継続収入になる
第一のメリットは収益になるということ。「収益化がまったくできない」という物件もあることはあります。しかし、一般的な過疎地の物件は、やり方次第で最低限の収益は出せることが多いものです。
売却と違い「継続収入」になる
「収益になる」というだけなら、売却でもいいでしょう。しかし、売却では利益は「一時的なもの」で終わります。
金額が大きければ、もちろんそれでもいいでしょう。ただ「長期間継続する収入を得たい」という場合は、太陽光発電や土地貸しなど、何らかの方法で土地を活用するべきといえます。
固定資産税などの維持費をまかなえる
利益を出すところまでいかなくても、固定資産税などの「土地の維持費」を、活用によってまかなえることが多くなります。土地の維持費は年間60万円程度することも珍しくないものであり、それを全部、あるいは一部補えるだけでも十分なメリットといえるでしょう。
土地の維持費については、下の記事で詳しく解説しています。
一部の管理義務から解放される
土地を持っていれば、それを管理する義務があります。上記のような問題が起きることを、地域のために防がなければいけないためです。
- 雑草・朽木が燃えることによる火災
- 不法投棄(による地域の景観・モラル・土壌の悪化)
火災の被害は特に甚大ですし、不法投棄はかなりの高確率で起こるものです。このような土地管理の手間の中でも、特に雑草対策については、下の記事で詳しく解説しています。
人に土地を使ってもらえば、管理義務の大部分はその人に移る
土地を誰かに貸すなどして活用すれば、土地の管理義務の大部分はその人に移ります。これは居住用でも事業用でも同じです。
もちろん、自分で店舗や太陽光発電などの運用をする場合、管理義務は相変わらず自分のものです。このメリットは「人に土地を貸すときのもの」と考えてください。
まとめ
過疎地の土地を活用することは、自らの利益になるだけではなく、地域の活性化に貢献することにもつながります。当記事で紹介した内容を参考にしつつ、最適な活用方法を模索するようにしてください。

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