住宅やマンションの中には「訳あり物件」と呼ばれる「売買しにくい物件」があります。既存不適格建物もその一つですが、自身が売買したい物件が既存不適格建物、ということもあるでしょう。
このようなとき、多くの人は下のような点を知りたいと思うことが多いものです。
- 「既存不適格建物は売れない」と言われる理由はなぜか
- どうすれば売れるか(高値で売却できるか)
- 売却の注意点はあるか
この記事では、これらの点も含めて「既存不適格建物の売買」について説明していきます。当記事を読んでいただくことで、より高い値段でより早く、既存不適格建物を売却することが可能になるでしょう。

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Contents
既存不適格建物は売れない?売却が難しい3つの理由
「既存不適格建物は売却しにくい」という声は、インターネット上でも多く見られます。ここでは、既存不適格建物がそのように言われる理由で、主なものを3つ解説していきます。
建て替えの条件が厳しい
既存不適格建物は、現時点では「建築基準法に違反している建物」です。建ぺい率・容積率などが合わなくなっているのです。
そのため「今と同じ大きさ」での建て替えはできません。建て替え自体はできるのですが、「新しい建築基準法に適合したサイズ」という条件がつきます。
なお、国土交通省の公式資料では下記のように説明されています。
既存不適格建築物
既存の適法な建築物が法令の改正等により違反建築物とならないよう、新たな規定の施行時又は都市計画変更等による新たな規定の適用時に現に存する又は工事中の建築物については、新たに施行又は適用された規定のうち適合していないものについては適用を除外することとし、原則として、増改築等を実施する機会に当該規定に適合させることとしている。
既存不適格建築物について(国土交通省)※PDF
上の内容を要約すると「今ある分は使っていい」「新しく建て替えするときには、新しい法律に従うこと」となります。
それほど厳しくない物件もある
上の説明の通り、要は「現行法に適応していない部分だけ」が問題なのです。物件によっては「今とほとんど変わらない条件で建て替えできる」ということもあります。
ただ、全体的にはそのような「簡単な物件」は少なく、多くが「難しい物件」となります。しかし、場合によっては「かなり軽度の既存不適格」という可能性があることも、理解しておきましょう。
(そうして物件の価値を正しく理解することが、買い叩かれないためにも重要なことです)
購入者が住宅ローンの審査に通りにくい
住宅を買うときは、新築だけでなく中古でも、住宅ローンを組むことがほとんど。住宅ローンを組まずに現金一括で購入できる買い手はほとんどいないものです。
そのため、住宅ローンの審査に通りにくい物件は売れにくいのですが、既存不適格建物はまさにそれに該当します。
なぜ、既存不適格建物だと住宅ローンを借りにくいのか
これは「住宅の価値が低い」ためです。住宅ローンを借りられるのは「住宅に価値があるため」です。
もちろん、その借り手の職業・年収なども判断されます。しかし、普通のカードローンなどでは絶対に借りられない数千万円という大金も借りられるのは、ひとえに「住宅の価値」なのです。
既存不適格建物は、住宅としての価値が低くなる
既存不適格は、残念ながら住宅としての価値が低くなります。理由は下の通りです。
- 築年数が古い(旧法の時代に建てられたほどなので)
- 建て替えの条件が厳しい(先に説明した通り)
- 売りにくいため、さらに価値が下がる
築年数が古ければ、当然どんな物件でも値段が下がります。また、将来の建て替えなどが不自由であれば、それもマイナスになるでしょう(建物がまったく劣化していない場合は別ですが)。
「売りにくい」ことが原因で、さらに値段が下がる
3つ目の「売りにくいため~」というのは、いわゆる悪循環です。これは中古車などでも同じですが「転売しにくい」と思うと、人々は買うのに慎重になります。
転売しやすい(売りやすい)物件は、不要になったときに高く売れるだけではありません。その物件を担保に融資を受けるときなども、大きな金額を借りることができます(不動産担保ローン)。
このように「売れる物件」というのは、それだけで価値が出て、さらに値段が上がるのです。バブルはこの状態が「エリア全体」で起こるものですが、個別の物件でもこのような「バブルと同じ原理の好循環・悪循環」が起きます。
既存不適格建物に限らず、あらゆるワケあり物件は「売れにくいせいで、さらに売れにくくなる」のです。
築年数が古いため、人気が出にくい
これは上の段落でも少し触れましたが、既存不適格建物は総じて築年数が古いもの。新しい建物は当然「新しい法律に適応している」ので、既存不適格にはなりません。
新法に適応できていないという時点で「相当に古い物件」ということです。築30年・40年、あるいは50年以上といった築古物件が多いため、この点でも売れにくくなります。
既存不適格建物を高く売るには?高値で売却するための3つのコツ
既存不適格建物の売買でも、多くの人は「できるだけ高値で売りたい」と思うことでしょう。ここでは、そのような高値での売買を実現するための、3つの方法を解説していきます。
既存不適格建物に強い業者を探す
不動産の売却は、大抵業者に仲介を依頼します。不動産業者はそれぞれに得意分野があり「既存不適格建物に強い業者」も存在するものです。
このような業者は既存不適格だけでなく、訳あり物件全般に強いことが多いものですが、そのような業者の具体例は下の記事で解説しています。
訳あり物件の中でも、既存不適格建物には「この条件ならではの特徴」があります。そのため、訳あり物件に強い業者の中でも特に「既存不適格の売買実績が多い」業者が、既存不適格に強い業者としておすすめできます。
間取りの広さを重視している人を探す
既存不適格建物は、新しい建物よりも間取りが広いことが多いものです。理由は「建築基準法がゆるい時代に建てられた物件」であるためです。
- 建基法がゆるい…広い家を建てられる
- 建基法が厳しい…狭い家しか建てられない
このような違いにより、古い建物(既存不適格)ほど間取りが広く、新しい建物ほど間取りが狭いということが多いのです(同じ条件の土地なら)。
そして、既存不適格建物はここまで書いた通り「売れにくい」ため、全体的に値段が安くなります。この点で、「多少法的な難点があっても広い家が欲しい」と思っている買い手にとっては、「お買い得」の物件なのです。
間取りの広さを強調する売却活動を行う
上の段落で説明した利点を活かすには、売却活動の中で「間取りの広さ」を強調することが重要。
- できるだけ家具などをどけて、広く見える室内写真を撮影する
- 間取り図をきれいに作図する
- 「広さの割合にお買い得」というメリットが伝わる宣伝文を考える
これらの工夫は「不動産業者がやるべきもの」もあります。特に宣伝文などはそうでしょう。
しかし、たとえば「家具をどけて広い室内写真を撮影する」などは、売り手(あなた)の努力なしにはできません。このような努力によって「広くて割安な中古物件を探している」という人にリーチできるようにするといいでしょう。
「リフォームプラン付き」で売る
既存不適格建物は、ほとんどが「古い」もの。そのため、間取りの広さや立地などに魅力を感じても「古い家はいやだ」と敬遠してしまう買い主もいます。
しかし、これが「リフォームによって、必ず新しい状態になります」というイメージを伝えながらだと、興味を持ってもらえます。
- 現時点の古い建物の写真だけでは、売れない
- 「リフォーム後」のイメージ写真とセットにすることで、売れる(興味を持ってもらえる)
ということです。「イメージだけじゃん」と思う人もいるかもしれませんが、イメージこそが大事なのです。間取りの広さや立地で有利な物件なら、「古い」ということだけが、その既存不適格建物のデメリットになるわけですから。
「確かに古い。しかし、この金額でこのようなリフォームもセットで、新築のような家に住める」というイメージが伝われば、多くの購入希望者に興味を持ってもらえます。
そもそも「リフォームプラン付き」とは何か
これは、たとえば住宅の価格が1000万円なら、そこに200万円上乗せして「1200万円で、リフォームもセットにしてこの家を売ります」というものです。


お得ではないが「きれいな家に住める」イメージが湧く
先にも書いた通り、この方法は完全な「イメージ戦略」です。結局リフォーム代は買い手が出すわけですから、別に安くなったわけではないのです。
それでもリフォームプランを付ければ、家の写真として「このような物件に住めます」というアピールができます。「写真はイメージです」という文言を添えておけばいいのです。
もちろん、その写真のイメージとかけ離れていたら「詐欺」になりますが、そのイメージと同等のクオリティのリフォームを当然するので、この宣伝に間違いはありません。
買主の「固定観念を取り除く」ことが本質
要は、この売り方の本質は「買主の固定観念を取り除く」ことなのです。「この建物は、この汚いままで住まなければいけない」という思い込みを排除してもらうのです。
実際、このような思い込みを排除して、良いリフォームをすれば「生まれ変わる物件」はたくさんあります。そのように「不動産の価値を最大限に引き出す」ことは、建築資材という資源を有効に使う上でも、土地(日本の国土)を有効活用する上でも、非常にいいことです。
つまり、売るための「イメージ商法」ではなく、資材や土地の価値を最大に高めるという「本質的なやり方」なのです。このやり方で損をする人は1人もいません(イメージ通りのリフォームが実施される限り)。


リフォームプラン付きの売却は、どの会社でできるか
これは、有名どころではパナソニックが「リアリエ」というサービスを提供しています。「中古住宅の売却+リフォーム」という売り方です。
しかし、パナソニックでなくても同様の売り方をできる不動産会社は全国に多くあります。パナソニックは「既存不適格に強い」という特徴はないため、できれば「既存不適格に強い」「リフォームプラン付きの売却もできる」という業者を探すのがいいでしょう。

上のような条件に該当する業者を探すには、冒頭でも書いた通り一括査定が一番便利。一括査定のサービスは多くありますが、その中でも特におすすめなのがイエウールです。
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売る前に知っておこう!既存不適格建物の売買での注意点・3つ
不動産の売買では、どんな物件でも注意すべきポイントが多くあります。それは既存不適格の建物でも変わりません。ここでは、既存不適格建物ならではの売買の注意点を解説していきます。
「既存不適格」のレベルは千差万別
「既存不適格の建物」と一口にいっても、そのレベルは千差万別です。現時点の法律に適合していない部分が「大量にある」のと「ほんの一部」というのでは、同じ「不適格」でも、レベルがまったく違うのです。
そのため「既存不適格」といわれても、それだけで「売れない」とネガティブに考える必要はありません。「どこがどのように既存不適格なのか」を理解し、物件の良さをアピールできるような売却活動をしましょう。
既存不適格を理由に買い叩く業者には売らない
上の段落で説明したように、既存不適格のレベルはさまざまです。しかし、知識のない人にとっては「既存不適格」といわれただけで、「自分の物件は価値が低い」と感じられてしまいます。
これを悪用し「安く買い叩こう」と考える買取業者もいます。仲介の場合は高く売る方が業者の利益にもなりますが、買取りの場合は「安く買う」方が、業者の利益になるためです(転売の基本は安く仕入れることです)。
そのため、既存不適格についてわかりやすい説明をせず「とにかく売れない」というようなことを強調する業者には、すぐに物件を売らないようにしましょう。必ず一括査定などを使って相見積もりをとるべきだといえます。
「リノベーションしてから売る」のは逆効果のことも
「高く売る方法」の段落で「リフォームプラン付きで売る」方法を紹介しました。これと似た方法で「リフォームしてから売る」というやり方もあります。
しかし、この「リフォームしてから」というのは、おすすめできません。最近の不動産市場では、これは逆効果になります。
「自分好みにリフォームしたい」という人が多い
現代は、家族構成や働き方など、さまざまな面で「日本人全員が共通でない」時代です。芸術的な好みについても、テレビや雑誌が権力を持っていた時代は、ある程度「統一」されていました。しかし、それもネットの普及やグローバル化などで、個性化が進んでいます。
このため、リフォームについても「自分の好きなようにしたい」「好みでないリフォーム代を上乗せされたらたまらない」と思っている買手は多いのです。物件情報で「リフォーム済みで内装もきれい!」と書かれていても、「むしろ、それが余計」と思う買手は少なくありません。


このような理由から、「事前のリフォーム」はおすすめできません。「リフォームすれば綺麗になる」ということをアピールしたいなら、先に紹介した「リフォームプラン付き」で売ればいいのです(この売り方は、ここで説明したような理由から生まれたものです)。
このような「売る前にリフォームすべきかどうか」という論点については、下の記事でも詳しくまとめています。
既存不適格住宅のメリット・デメリット・資産価値
既存不適格建物の売買を成功させるには、買い手にとってどんなメリットやデメリット、資産価値があるのかを知っておく必要があります。ここではそれらの内容をまとめます。
メリット…間取り・立地のいい物件でも割安になる
既存不適格建物は「古い・ローンを借りにくい・建て替えしにくい」という理由で、価値が低くなります。逆にいえば「これら以外の部分」については、価値が高いのです。具体的には下のような部分です。
- 間取りの広さ
- 立地の良さ
- 日照条件の良さ
これらの条件を満たした既存不適格建物は「好条件の割に、安く買える物件」となるのです。このため、これらの条件を重視して物件探しをしている買い手にとっては「魅力的な掘り出し物」になるわけですね。
これはどんな世界の商品でも同じで「訳アリ商品」は、その「訳」がどうでもいい人にとっては、非常に魅力的な商品なのです。
デメリット…融資を受けにくい、転売しにくい等
デメリットは「売れにくい理由」にも書いた通り、金融機関の融資を受けにくいこと、転売しにくいことです。その他、築年数が古いこと、建て替えが難しいことなどもデメリットとなります。
「建て替えしにくい」という理由については、よく似たもので「再建築不可」というルールがあります。再建築不可については下の記事を参考にしていただけたらと思います。
資産価値…基本的に低い。古民家などは逆に高い
資産価値については、基本的に低いといえます。例外もありますが、同じ条件で現行法に適応している物件と比較すると、ほとんどのケースで「既存不適格は価値が下がる」ものです。
(この理由は、ここまで書いてきた「売れないといわれる理由」と同じです)
「古すぎる物件」は逆に価値が出る
「古い」というのは、どんな分野でも「一定レベルを超えると、逆に価値が出る」もの。これは既存不適格建物も同じで「古民家のレベル」になると、逆に価値が出ます。
古民家の定義もさまざまで、築年数で決めることもあれば、構造で決めることもあります。比較的築浅の物件でも、「造りが古民家っぽい」場合は、それで古民家としての括りになり、価値が出ることもあります。


まとめ
以上、既存不適格建物の売買について、高く売るための方法や注意点などを解説してきました。文中でも書いた通り、最終的に高く売却するには「既存不適格建物に強い業者」を探すのが一番重要。そして、そのような業者を探す上でもっとも有効な方法の一つが、一括査定サイトを使うことです。
一括査定サイトは多くありますが、当サイトでは下のイエウールを特におすすめしています。既存不適格建物をできるだけ高値でスムーズに売却したいという方は、ぜひイエウールをチェックしてみて下さい。

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