既存不適格物件を持っている、あるいは相続したというケースで、売却を検討することもあるでしょう。そのとき、下のような点が気になるかと思います。
- 既存不適格物件は買い取ってもらえるのか
- 買い取りしてもらえるなら、どの業者がいいのか
結論を書くと、既存不適格物件でも問題なく買い取ってもらえます。どの業者がいいかについては、エリア別でおすすめの業者を5社紹介します。
- 既存不適格物件とは何か
- おすすめの買取業者・5社(エリア別)
- 既存不適格物件を高く売る3つのポイント
- 既存不適格物件で建て替えはできるのか
- 既存不適格物件で融資は受けられるか

エリア別といっても47都道府県すべての業者を紹介するのは難しいものです。そのため、当記事で紹介する業者の中で「自分の物件のエリアの業者がいない」ということもあるかと思います。
そのような場合は、全国対応の一括見積りサイトでまずは対応可能な業者に手を挙げてもらう最も効果的かつ高額売却が見込めます。
中でも人気の一括査定サイトである「イエウール」を使うのがおすすめ。全国1800社超の会社から最大6社の査定を受けられるため、複雑な事情がある不動産の売却に強い会社も見つけやすくなります。
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Contents
既存不適格物件とは
まず「既存不適格物件」とは何かを箇条書きで説明すると、下のようになります。
以下、それぞれ解説していきます。
建築当初は適法だったが、今は違法な物件のこと
既存不適格物件とは「建設した時点では適法だったが、現在では違法な物件」のことです。違法というと悪質なイメージがあるかもしれませんが、決して悪い物件ではありません。
後から法律が変わった(誰も悪くない)
既存不適格物件が生まれる理由は「建築した後で法律が変わってしまった」ためです。つまり、その建物を建てた人も、今住んでいる人も誰も悪くないのです。
住む・売買・賃貸、すべて可能
既存不適格物件は下のいずれも可能です。
- 自分で住む
- 売買する(業者や個人に)
- 賃貸する(ビジネスでも身内でも)
要は「普通の不動産と同じように利用できる」ということです。先に書いた通り「誰も悪くない」ので、これは当然なんですね。
建て替え・増改築ができないことも
既存不適格物件は、建て替えや増改築をしようとしてもできないことがあります。理由を箇条書きすると下の通りです。
- 現時点で「すでにルール違反」の状態である
- 「もともとあった建物」については、それでも認める
- しかし「これから造る建物」については、認めない
国が上記のような判断をするということですね。建て替えについては下の段落で詳しく説明します。
また、建て替えに関して既存不適格物件と条件が似ているものとして「再建築不可物件」があります。再建築不可物件については、おすすめの買取業者とともに下の記事で詳しくまとめています。
建築基準法での説明
建築基準法では、既存不適格物件について下のように説明しています。
この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。
画像引用元:e-Gov「建築基準法第3条2」
難しいですが、箇条書きで書くと、下のような内容が書かれています。
- まず「違法建築物は取り締まる」と宣言
- しかし「こういう物件は例外です」と説明
- その「例外のパターン」が上に書かれている
そして、どんな例外が書かれているかというと、下の通りです。
- 新しい法律が適用された時点で、前からすでに存在した建物
- 同じく、その時点で「建設工事が始まっていた」建物
- 建物全体が違法でなくても「部分的に違法」で、その部分が前からあったもの
要は「前からあったもの」はOKということです。2つ目と3つ目については、下のような疑問を持つ人がいるため、補足されています。
- 「工事中」だったらどうなるのか
- 建物全体だけでなく「一部」が違法だとどうなるのか
このような「ツッコミ」に応えるために、引用部分のように法律は「やたらと厳密に」書かれているわけです。一言でまとめると「昔からあった建物はOK」というだけになります。
既存不適格物件の買取業者・おすすめ5選(エリア別)
既存不適格物件の買い取りでオススメの業者をまとめると、エリア別に下の5社となります。
以下、それぞれの業者について、特徴やメリットを紹介していきます。
全国対応…クランピーエステート

会社名 | 株式会社クランピーリアルエステート(ClamppyRealEstate,Inc.) |
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代表者 | 代表取締役 大江 剛 |
所在地 | 〒104-0045 東京都中央区築地2-10-6 Daiwa築地駅前ビル9F |
TEL | 0120-543-134 |
FAX | 03-6226-2562 |
免許 | 宅地建物取引業免許 東京都知事(1)第101797号 |
全国出張対応可能!800を超える士業ネットワークが強み
クランピーエステートは、弁護士・司法書士・不動産鑑定士など、あらゆる分野で800以上の士業ネットワークを持っている不動産会社です。全国の既存不適格物件の買い取りに対応しており、どの都道府県・エリアでも出張対応可能となっています。
出張費は無料で査定も無料のため、見積もりを依頼するリスクやデメリットは一切ありません。「自分の既存不適格物件が大体どのくらいで売れるのか」という目安を把握できる点でも、役立つ不動産会社といえるでしょう。
既存不適格物件の活用や売買を有利に進めるには、あらゆる法律の知識や、書類作成などの実務能力が必要になるもの。クランピーエステートはその点、すべての分野の専門家とのネットワークを全国に持っているため、既存不適格物件を有利に活用できるのです。
このため、他社よりも既存不適格物件などの訳あり物件を高額で買い取ってくれると評判になっています。同社の詳しい特徴や強みについては、下の「無料査定依頼はこちら」から、チェックしてみてください。
東京都…株式会社プレグリップエナジー
会社名 | 株式会社プレグリップエナジー |
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所在地 | 東京都中央区日本橋人形町3-10-1かしきち人形町ビル2階 |
代表者 | 代表取締役 野﨑人孝 |
設立年月 | 2014年4月 |
首都圏・愛知県を中心とする買取業者
株式会社プレグリップエナジーは、東京都に拠点を持つ不動産会社。東京だけでなく、愛知県にも「名古屋営業所」を持っています。
このため、東京都を中心とした1都3県の既存不適格物件の買取りに加えて、愛知県や三重県、静岡県や岐阜県など東海地方の物件も買い取れる体制になっています。
同社は社名に「エナジー」とつくように、特にソーラー分譲・太陽光発電投資に力を入れている不動産会社です。既存不適格物件では「民家を建てられなくなった」土地も多いものですが、そのような土地でも「太陽光発電なら使える」ということもあります。
このような太陽光発電用としての土地活用については、下の記事で詳しく解説しています。
こうしたさまざまな活用の選択肢を持っていることで、同社は既存不適格物件でも高額で買い取れることが多いと考えられます。東京都や愛知県で既存不適格物件の買取業者を探している方は、一度株式会社プレグリップエナジーをチェックしてみるといいでしょう。
千葉県…株式会社エースプランニング
所在地 | 千葉県千葉市若葉区都賀3-22-7 |
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資本金 | 500万円 |
設立年月 | 平成25年9月 |
免許番号 | 千葉県知事 (1) 第16921号 |
代表者 | 伊藤 将史 |
千葉県・茨城県の既存不適格物件を積極的に買い取り
株式会社エースプランニングは、千葉県を拠点とする不動産会社です。同社は千葉県全域にくわえて、茨城県の既存不適格物件も積極的に買い取っています。
リンク先の公式ページでは、既存不適格物件以外にも下のような物件の買い取りをしていることが書かれています。
- 築古物件
- 再建築不可物件
- 任売(任意売却)案件
- 全室空き部屋
このように「あらゆる訳あり物件」に対応しているのが特徴です。なお、最後に「全室空き部屋」とありますが、これはビルなども可能です。
空ビルの買取については下の記事で詳しく解説しているので、興味がある方は参考になさってみてください。
神奈川県…神奈川不動産買取査定センター
屋号 | 神奈川不動産買取査定センター |
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会社名 | 湘南土地家株式会社 |
所在地 | 神奈川県藤沢市朝日町11-2大道東ビル201 |
免許番号 | 神奈川県知事免許(1)第28771号 |
代表者 | 井上修一 |
神奈川を中心に、首都圏で既存不適格物件を買い取り
神奈川不動産買取査定センターは、名前の通り、神奈川県を中心として不動産を積極的に買い取っている業者です。運営会社は「湘南土地家株式会社」で、やはり名前通り「湘南エリアの土地・家」の売買を手掛けている業者となります。
同社は神奈川県だけでなく、東京都・千葉県・埼玉県など首都圏を中心に、積極的に既存不適格物件を買い取っています。神奈川県や首都エリアで既存不適格物件を売りたい方は、同社をチェックしてみるといいでしょう。
大阪府…大阪不動産買取ナビ(辻産業有限会社)
会社名 | 辻産業有限会社 |
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設立年月日 | 昭和31年6月13日 |
所在地 | 大阪市港区夕凪2丁目17番5号 |
資本金 | 1000万円 |
代表者 | 代表取締役・辻直孝 |
創業60年、信頼性の高い老舗業者
大阪不動産買取ナビを運営する辻産業有限会社は、昭和31年に創業。実に創業60年以上の歴史を持つ老舗企業です。
言うまでもなく、長い間問題を起こさずに事業を続けてきた企業は、それだけで信頼できるものです。その点で、大阪府や京都府、奈良県などの関西地方の既存不適格物件の買い取りでは、同社がおすすめといえます。
既存不適格物件の売却を高値で成功させる3つのポイント
既存不適格物件を売りに出す場合も、できるだけ高額で売りたいと思う人が多いでしょう。既存不適格物件を高値で売却するためのコツをまとめると、下の3つのポイントが重要といえます。
以下、それぞれのポイントについて説明します。
訳あり物件の取引実績が豊富な会社を選ぶ
まず、既存不適格物件も含めて訳あり物件の売買実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。「既存不適格物件」だけに絞ってもいいのですが、この方法だと業者が見つかりにくくなります。
「既存不適格物件も買い取り可能」と明記している方が確かに安心できるでしょう。しかし、訳アリ物件を積極的に買い取っている業者なら、大抵既存不適格物件も高額で買い取ってくれるものです。
このため、既存不適格物件というキーワードにこだわらず「訳あり物件」というキーワードまで広げて、この分野に強い業者を探すべきといえます。
不動産一括査定で大体の相場を把握する
不動産一括査定のサービスは、知っている方も多いでしょう。これは「普通の家やマンションで使うサービス」と思われがちですが、既存不適格物件のような不動産でも使えます。
特に事業用でなく居住用の場合は、イエウールがおすすめです。イエウールについては下の記事で詳しく解説しています。
一括査定でおおよその相場を把握することで、訳あり物件専門をうたう不動産屋が出してくる査定額が、信頼できるかそうでないかを判断しやすくなるでしょう。
本査定もできるだけ多くの業者から受ける
一括査定はあくまで「机上査定・簡易査定」であり、正確な査定ではありません。正確な査定は「本査定・訪問査定」などと呼ばれますが、物件を実際に見て業者が判断するものです。
この本査定も、できるだけ多くの不動産会社から受けるようにしましょう。それによって競争原理が働き、買取価格が高くなりやすいからです。
これは決してずる賢いテクニックではありません。業者も自分たちが赤字になるような金額は提案してきませんから、業者にとっても「問題のない値段」になるのです。
その「問題のない範囲」で一番高い値段まで上げてもらうには、本査定も多くの業者から受けるのがいいでしょう。
既存不適格物件で建て替えはできる?
既存不適格物件の売買で多くの人が気になるのは「建て替えはできるのか」という点でしょう。これをまとめると、下のようになります。
以下、それぞれ詳しく説明します。
新法に適応する範囲ならできる
既存不適格物件は「そこに建物があること自体が違法になった」というケースばかりではありません。そのようなケースもありますが、そうでないケースもあります。そうでないケースとは、下のようなものです。
- その土地に、建物を建てることはできる
- しかし「広さなどを変更して」建てないといけない
つまり、(後で決まった)新しい法律に適用する建物なら建てていい、ということです。
一切できないケース(再建築不可)もある
一方、建て替えが一切できないケースもあります。「再建築不可」と呼ばれるものです。
これは、新法によって「そもそも、そこに建物を建てること自体がNG」となっているケースです。NGとなる理由で特に多いものは「接道義務違反」です。
接道義務違反とは
接道義務とは「2m以上の間口で、幅員4m以上の道路に接する義務」です。この条件を満たしていなければ、その土地に住宅を建てることはできません。
「幅員4m以上」というのは「自動車がすれ違える広さ」と考えてください。そのような道路に、自動車が1台通れる広さとして「幅員2mの間口」が必要ということです。
この接道義務違反も含め「そもそも、そこに建物を建てることができない」という土地の場合、既存不適格物件の建て替えは一切できません。こうした再建築不可物件の条件については、下の記事で詳しく解説しています。
修繕としてのリフォームはできる
既存不適格物件でも「修繕するためのリフォーム」はできます。理由は下の通りです。
- 修繕まで禁止されたら生活できない
- 修繕は、今の建物の広さ・構造などの条件を変えることがない
既存不適格物件はここまで書いてきた通り「現時点では一応問題ない建物」なのです。新法には適応していないものの「今の状態なら、そのまま存在することを許される」物件といえます。
ということは「構造や広さを一切変えない」工事ならいいわけです。そして、修繕のためのリフォームはそれに当たります。
具体的にどんなリフォームならいいのか
「このようなリフォームならOK」という具体例をあげると、下のようになります。
- キッチンのフルリフォーム
- お風呂・トイレのフルリフォーム
- 壁紙の総張り替え
- フローリングの総張り替え
- 壊れた部分の修繕
- 古くなった窓ガラス・網戸などの交換


キッチンの流し台や棚などは、柱や屋根が骨格だとすると「肉」にあたる部分です。お風呂やトイレも同様といえます。
こうした「肉」に当たる部分は、どれだけリフォームをしてもいいのです。逆に「骨」に当たる部分を変更するような大規模なリノベーションは、既存不適格物件では不可とされることが多くなります。
「和室を洋室にする」のはいいのか
これも上のルールと同じで「骨格部分が変わるかどうか」です。たとえば「畳を撤廃してフローリングにする」「ふすまを洋風の引き戸に変える」というのは、完全に「家の中の出来事」といえます。
建物の広さも骨格も何も変わらないので、建築基準法が口を出すような領域ではありません。逆に許可がおりないと想定できるのは「柱を追加して床の間を造る」などです。


既存不適格物件で融資は受けられる?
「既存不適格物件でも、住宅ローンなどの融資を受けられるのか」という点も気になるでしょう。この点についてまとめると、下のようになります。
以下、それぞれ解説していきます。
まったく不可能ではない
既存不適格物件を担保にして融資を受ける(お金を借りる)ことは、まったく不可能というわけではありません。しかし、かなり難しいと思ってください。
多くの銀行・金融機関は貸し渋る
既存不適格物件は「違法建築」とまではいわないものの、完全に合法な物件でもありません。増改築や建て直しができないという時点で、活用の選択肢もかなり狭まります。
要は「あまり価値のない物件」となるので、担保価値も低くなります。銀行などの金融機関は、価値の低い担保でお金を貸すことはあまりありません。
このため、まったく不可能ということはないものの、銀行・金融機関は「貸し渋ることが多い」と理解して下さい。
居住用・投資用のどちらでも借りにくい
既存不適格物件を買うケースは、大別して「居住用・投資用」のどちらかになります。自分で事業を営むというケースは、ここでは「投資用」に含みます。
すべての購入はこのどちらかになるわけですが、融資については「どちらでも借りにくい」というのが実情です。このため、たとえば居住用で「住宅ローンを借りて買う」と考えている場合は、難しいと考える方がいいでしょう。
事業用・投資用の場合は「事業資金」として借り入れする方法もあります。しかし、これもやはり「活用の選択肢が狭く事業を展開しにくい物件」なので、融資は受けにくいのが実情です。
まとめ
以上、既存不適格物件の買取に関する知識と、おすすめの業者をまとめてきました。最後に要点を整理すると下のようになります。
- 既存不適格物件でも買い取りに出すことは可能
- しかし、普通の不動産業者では買い取ってもらいにくい
- そのため、既存不適格物件や訳あり物件の専門業者がおすすめ
- 住宅ローンなどの融資を受けるのは難しい
基本的には「専門業者に頼む」「できるだけ多くの査定を受ける」など、他の物件を高く売る方法と共通すると思ってください。既存不適格物件でも高値で売ることは可能なので、できるだけ時間をかけて多くの業者と交渉するようにしましょう。