共有持分が競売にかけられたらどうする?~売るなら任意売却がお得~

共有持分の不動産が競売にかけられることは稀にあります。あるいは、あなた自身が「自分の持分を競売にかける」ということもあるでしょう。

こうしたケースでは「共有持分を競売にかけられそうになったら、どうすべきか」「自分の持分を競売にかけるにはどうすればいいか」という点が気になるかと思います。それぞれの結論をまとめると、下記の通りです。

競売にかけられそうなら… 競売の前に直接買い取る
自分の持分を競売にかけるには… 共有物分割訴訟をする

自分の共有持分を競売にかけるのは、買い叩かれる上に時間もかかるため、非常に不利です。競売にかけるよりは「任意売却」を選ぶのがいいでしょう。

この記事では、こうした「より有利な選択肢」も含めて、「共有持分の競売」について説明していきます。


(なお、任意売却は「共有持分に強い買取業者」に依頼するのがベストです。そうした業者については、下の記事で解説しています)

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共有持分が競売にかけられたらどうするか

誰かと共有している不動産で、相手の分の共有持分が競売にかけられることがあります。この場合、競売にかかっていないあなたの持分にどんな影響があるのか、何をすべきか悩むことが多いでしょう。

「どんな影響があるか」「何をすべきか」をそれぞれ書くと、下のようになります。

以下、それぞれ解説していきます。

放置するとトラブルになり、あなたの持分も失う恐れがある

放置していると、当然ながら共有者の持分が誰かに競落されます。これにより、あなたは「赤の他人」と不動産を共有することになります。

これが「まともな人」ならいいのですが、中には「反社会勢力」も混じっています。いわゆるヤクザです。

また、ヤクザとまでは言わなくても「極めて強引な不動産業者」が買い取ることもあります。

普通の人は共有持分の不動産を買わない

多くの人が連想する普通の人(良心的な一市民)であれば、共有持分の不動産を買うことはめったにありません。まして競売にかけられるような訳あり物件なら、通常の感覚では買おうとは思わないものです。

売野くん
確かに「この物件、何かあるな」と思いますよね。
不動先生
はい。それを買うような人は良くも悪くも「プロ」なのです。「何かを狙っている」と言っていいでしょう。

この「何か」ですが、当然ながらあなたの持分が対象になることがほとんどです。

共有持分のままでは利益を出せないため、ほぼ確実にアプローチされる

共有名義の不動産である限り、賃貸などの利用方法に制限があるわけですから、そのままではほとんど使えません。

売却するにしても、共有持分のままでは価値が大幅に落ちてしまいます。同じ面積・同じ築年数などの条件でも「共有持分」というだけで大幅に価値が下落するのです。

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ということは、競落した「プロ」は、かなりの確率であなたにアプローチをかけてきます。そして、大金を出して不動産の一部を買い取った以上、「普通のセールスのように大人しく引っ込むことはまずない」と考えてください。

もちろん、あなたが海千山千のプロであれば「その業者とうまく交渉して、値段を吊り上げて売る」こともできるかもしれません。しかし、そんな交渉力を持つ人はほとんどいないでしょう。

「売る気がない」場合は、デメリットしかない

また「そもそも、売る気がまったくない」「その家・土地に住み続けたい」という場合、アプローチをされること自体が厄介で「デメリットしかない」といえます。

競売で競落される前に、あなたが買い取るのがベスト

上の段落で述べた理由から「あなたが今の不動産を売る気でないなら、競落される前にあなたが共有持分を買い取るのがベスト」といえます。

買取りには当然お金がかかります。しかし、共有持分を解消してあなたの持分を増やすと、同じ面積でもあなたの不動産の価値がさらに高くなります。

(正確には、高くなるというより「共有状態によって下がっていたものが元に戻る」のですが)

また、上に書いたようなトラブルを避けることも考えると、多少の費用が必要になっても、共有持分を買い取るメリットは大きいといえます。

共有持分の不動産が競売になるのは、どんなケースか

そもそも「どのような時に共有持分の不動産が競売にかけられるのか」という点も気になるでしょう。これをまとめると、下のようになります。

以下、それぞれ詳しく解説していきます。

法的な手続きとしては「共有物分割訴訟」をされた時

法律的にいうと、共有持分の競売はかならず「共有物分割訴訟」のあとで起こります。共有物分割訴訟とは何かについては、下の段落で説明します。

共有物分割訴訟とは?

この訴訟が起きるのは「共有者の困窮・意見の対立」が原因

法的には「共有物分割訴訟→競売」という流れになることを説明しました。次に気になるのは、「どんなときに共有物分割訴訟が起きるのか」でしょう。

これは基本的に、下の2つのどちらか(あるいは両方)が原因になります。

それぞれ簡単に解説していきます。

共有者の経済的困窮(お金がない状態)

競売と聞いて「自己破産」をイメージする人も多いでしょう。これは共有持分でなくても同じです。自己破産を含め「持っている資産をすべて処分しなければいけない状況」になると、共有持分であろうと売る必要があります。

このため、共有者が「本当は売りたくない」と思っていても、債権者(主にお金を貸している人)などの指示で、売らなければならないこともあるのです。このようなとき、競売のために共有物分割訴訟が起こされることがあります。

意見の対立(共有不動産の活用方法について)

その共有物件をどう活用するかについて、意見の対立が起きることも多いでしょう。このようなとき、共有者が「自分の分を競売に出す」ことを示唆することがしばしばあります。

ケースとしては、上に書いた「お金がなくて競売にかける」よりも、こちらの方が多いといえるでしょう。

共有者はなぜ競売をほのめかすのか

これは主に下のような理由があります。

  • あなたにゆさぶりをかけて、自分に有利な条件で交渉をまとめたい
  • 単純に共有状態に疲れた(お金は求めていないので、早く終わらせたい)

前者の場合「交渉しだいで、競売は確実に防げる」ということで、ある意味安心です。また、後者の場合もこちらから買い取ることを提案すれば、確実に乗ってくれるでしょう(その方が共有者にとっても楽だからです)。

前者で交渉する場合、相手の共有持分の方が多いときなどは、当然相手が有利になります。交渉が決裂して競売にかけられるよりはマシと考え、ある程度までは譲歩して、交渉をまとめることを優先しましょう。

共有物分割訴訟とは?

共有持分の競売は、法的な手続きのルールとして「共有物分割訴訟のあとで行う」ようになっています。ここで気になるのは「共有物分割訴訟とは何か」ということでしょう。

これについて、ポイントをまとめると下のようになります。

以下、それぞれのポイントについて説明します。

裁判所を通じて、共有状態を解消する訴訟

共有物分割訴訟を一言でいうと「裁判所を通して共有状態を解消する訴訟」です。単語を分割すると、この意味がわかります。

共有物を分割する 分割したら「共有」ではなくなるので、共有状態が解消される
訴訟 上の作業を「裁判所」で行う

分割という言葉を見ると「分けて共有する」ような感覚があるかもしれません。しかし、ここでいう分割とは「離れ離れになり、二度と会わない」というようなイメージです。人間で例えるなら「離婚」に近いでしょう。

そのような「まったく別物の不動産にする作業」を裁判所で行うのが、共有物分割訴訟です。

勝訴・敗訴はなく、調停に近い

訴訟というと「判決があって、勝訴・敗訴がある」というイメージを持っているかもしれません。しかし、共有物分割訴訟ではそれはないのです。

そもそも勝ち負けを決めるわけではなく、目的は上に書いた通り「共有状態の解消」です。そのため、名奉行と呼ばれた大岡越前の「大岡裁き」のように「こうするのが一番いいのではないか」という提案を、裁判所がしてくれます。

売野くん
提案がいまいちだったら、拒否してもいいんですか?
不動先生
それはできません。不動産のコンサルタントと違い裁判所の提案には強制力があります。

納得がいかなかった場合、控訴もできる

裁判所の提案(判決)に納得できなかった場合、さらに上の裁判所に訴えることもできます。この点は、普通の犯罪に関する裁判と同じです。

控訴して、さらに不利な内容になることもある?

これはあり得ます。普通の民事訴訟と違い「不利益変更禁止の原則」が適用されないためです。

不利益変更禁止の原則とは

これは「控訴の裁判では、前の判決より不利な内容にしてはならない」というものです。民事訴訟法の304条に規定されています。↓

第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。
民事訴訟法第304条(Wikibooks)

この条文が適用される一般的な民事裁判なら「控訴して有利になることはあっても、不利になることはない」のです。裁判費用はかかりますが、判決の内容だけ見れば「メリットしかない」といえます。

しかし、共有物分割訴訟ではこのルールが適用されません。このため、高等裁判所・最高裁判所の判断によっては「控訴するほど不利になる」こともあり得ます。

裁判にかかる費用や労力も考えると、ますます損失が大きくなるわけです。このため、控訴をするのであれば「絶対に自分の主張が正しいと確信できるとき」のみ行いましょう。

裁判所に提案される方法は、主に3通り

具体的に裁判所がどんな提案をしてくるかですが、これはケースバイケースです。ただ、大別すると「3通り」に分類できます。

次の段落では、この3通りの分割方法について解説していきます。

共有物分割訴訟とは?必要なケース&3つの分割方法を解説!

2018.09.28

共有物分割の4つの方法

共有物分割訴訟では、裁判所によって「分割の方法」を提案されます。その方法は主に下の4通りに分類できます。

以下、それぞれ解説していきます。

現物分割

これは「そのまま分割する」ものです。たとえば土地なら「分筆」をします。

分筆とは?

これは「1つの不動産を別々の不動産として登記する」ことです。下のようなイメージだと考えてください。

  1. 1億円の土地を5人で共有していた
  2. それを「2000万円の土地×5つ」に分割する

本人たちにとっては「もともと分割していた」かもしれませんが、それが「正式に別々のもの」になるということです。本人たちの意識だけでなく「不動産登記簿の上で、完全に別の土地になる」ということですね。

分筆は建物でもできる

土地の分筆はイメージしやすいでしょうが「建物も分筆登記できるのか?」と疑問に思うことがあるでしょう。結論をいうと、これも可能です。

ただ、言うまでもなく建物の分筆登記は厄介です。マンションの各戸のように「完全に別々に生活できる構造」なら、分筆しても問題ないでしょう。

マンションは「区分所有」といいますが、あれはある意味「1つの巨大な家を、集団で分筆登記している」ようなものなのです。このような建物ならいいのですが、通常の一戸建てでは「分筆登記をすると厄介なことになる」と思って下さい。

売野くん
玄関を所有すれば、他の共有者の侵入を防げるので最強ですね。
不動先生
いや、窓から侵入される可能性もあるので、窓も所有する必要があります。

上記のやり取りは冗談ですが、一戸建てではこのように「分割すると機能しなくなる」わけです。このため、一戸建ての分筆登記は「法的には可能」であるものの、実際には行われません。

そのため、一戸建ての建物について、共有物分割訴訟で「現物分割を裁判所が提案する」ことは、ほぼないと考えてください。

(土地について「建物がある土地と庭を分割する」ことはあり得ます)

全面的価格賠償

これは「1人がすべてを買い取る」ものです。例えば共有者が5人いたら「4人の持ち分を、残り1人がすべて買い取る」というやり方です。言葉の意味を下のようにイメージするとわかりやすいでしょう。

  • 全面的……すべて
  • 価格賠償…買い取る

「全面的」という言葉を見て「部分的もあるのか?」という疑問が湧くこともあるでしょう。これはその通りで、部分的価格賠償もあります。

部分的価格賠償

これは、基本的には1つ目の方法の「現物分割」です。しかし「単純に分割すると不公平になる」という時に、この部分的価格賠償をします。

単純な分割で不公平になるケースとは?

これは「土地の日当たりなどによって価値が変わる」ケースです。同じ面積で分割しても、隣地との接し方などが微妙に違うだけで、価値は大きく異なります。

このため「単純に分割すると不公平」ということが多いのです。しかし、登記上「全員500㎡ずつ」という風に決まっていたら、その面積で分割するしかありません。

不利な土地をもらって損をした人のために、お金を払う

たとえば「弟」が不利な土地をもらうことになったとします。当然、この弟は「損をした」わけなので、この分を補填する必要があります。

弟が請求しなければ、補填する必要はありません。しかし、共有物分割訴訟を起こしているくらいですから、普通は請求するでしょう。

このとき「弟が不利になった金額」を計算し、兄がその分を現金で払います。このように「部分的に現金を支払う」ので、部分的価格賠償といいます。

損失分はどう計算するのか

これは主に下の2通りにわかれます。

  • 多くの不動産会社の査定を受けて決める
  • 鑑定士による不動産鑑定を受ける

簡単な方法は1つ目で、より正確な方法は2つ目です。不動産鑑定士は国家資格であり、その鑑定は「ある程度正しい」といえます。

もちろん、鑑定士の経験が短ければ正確とは限りません。また、片方に肩入れしている可能性もあります。

このため、鑑定士でも絶対に正しいわけではありません。しかし、不当な鑑定をした場合、それを都道府県の不動産鑑定士協会などに訴えれば、その鑑定士は資格を剥奪される恐れもあります。

このため、鑑定士が「明らかにおかしい鑑定」をすることはめったにないのです。実績のある鑑定士なら国や市区町村が持つ不動産の鑑定も行うので、社会的に見て「一番信頼できる相手」といえます。

不動産鑑定にかかる費用はどれくらいか

これは「大体30~50万円」と考えてください。土地の面積やその他の条件によって大きく変わりますが、一般的な物件では100万円に達することは少ないといえます。

この相場については下の記事で詳しく解説しているので、鑑定を検討している方は、参考にしてみてください。

不動産鑑定の費用の相場は30~50万円!物件の種類・評価額ごとの目安を解説!

2018.09.20

代金分割(これが競売)

4つ目の方法は「代金分割」です。これが競売に当たります。方法はシンプルで、下のような手順になります。

  1. 共有者全員で、その不動産を売る
  2. それで得たお金を分け合う

つまり、この方法だと「現金を分け合う」ことになります。「代金分割=現金分割」と言い換えるとわかりやすいでしょう。

代金分割になるケース

裁判所が代金分割を命じるのはどんなケースか―。これは主に下の2通りです。

  • 現物分割ができない
  • 一応できるが、分割によって大きく価値が下がる

1つ目の「現物分割ができない」というのは、わかりやすくいうと「一戸建て」です。一戸建ての分割は現実的に無理でしょう。

兄はトイレ・お風呂だけもらう、弟はリビングだけもらう…というような分割は当然できないわけです。仮にできたとしても、2つ目に書いているように「かなり価値が下落」します。

完全分離型の二世帯住宅のみ、できることも

例外として「完全分離型」の二世帯住宅があります。これは、親世帯と子供世帯が、玄関からトイレ・お風呂まで、すべて別々にしているものです。

わかりやすくいうと「部屋がくっついているだけで、完全に別の家」なので、「2戸だけのアパート」のようなものです。このような形式の場合は、分割は可能ですし、価値もそれほど落ちません。

(完全分離型も含め、二世帯住宅の売却や処分については下の記事を参考にしていただけたらと思います)

二世帯住宅の売却を成功させる4つのポイント!売れない原因を解決するコツとは?

2018.11.21

共有持分の任意売却をする方法

自分の共有持分を競売にかけるより賢い方法として「任意売却にかける」という方法があります。これについて、要点を箇条書きすると、下の通りです。

以下、それぞれの点について解説していきます。

任意売却とは

任意売却とは、抵当権がついている物件を、不動産会社の仲介によって売ることです。もっとわかりやすく書くと「住宅ローンが残ったまま売る」ことです(住宅についている抵当権=住宅ローンと考えてください)。

普通の売却と何が違うのか

これは「自分に完全な所有権がないのに売る」ということです。そもそも、住宅ローンを完済していないということは、その家はあなたのものではないのです。

住宅ローンが残っている以上、その家は「銀行のもの・金融機関のもの」といえます。それを売ることは「他人の物を勝手に売る」のと同じです。

このため、住宅ローンがあると「普通の売却」ができません。しかし、代わりに「任意売却」ができるわけです。

売却益を返済に当てる条件で、売らせてもらえる

銀行としても、住宅ローンを借りている人に破産されると困ります。そのため「売却してでも何でもいいので、とにかく返済してほしい」わけです。

そして「家を売って、その代金を返済に当てる」というのは、明らかに銀行にとってプラスになります。全額は戻ってこないかもしれませんが、半分や8割り程度でも「ないよりはマシ」なのです。

このため「家を売って得た利益を返済に当てる」という条件なら、売却をさせてもらえます。これが任意売却です。

任意売却に対応していない業者もある

任意売却は、どの不動産業者でも対応しているわけではありません。複雑な案件なので、非対応の業者もそれなりに存在します。

このため、任意売却をしたいなら、まず「任意売却に対応している業者」を探すことが必要です。これはそれほど難しくないのですが、問題は「共有持分」ということにあります。

「共有持分の任意売却」はさらに難しい

ここで論じているケースは「共有持分を任意売却する」というものです。たとえば親から相続した土地を兄弟の共有名義で持っていたとします。

そして、弟の方がお金に困って、その土地を抵当に入れて「不動産担保ローン」でお金を借りたとしましょう。これは住宅ローンではありませんが、住宅ローンと同じく「抵当権」が土地に設定されるわけです。

そして、弟がお金に困ったら「その共有持分の部分だけ任意売却する」ことも考えるでしょう。任意売却だけならそれほど難しくないのですが、このように「共有持分の部分だけ」となると、対応できる業者は少なくなります。

共有名義(共有持分)の抵当権抹消手続きは1人でもできる!必要書類や費用のまとめ

2018.09.11

共有持分の売買実績が豊富な業者を選ぶことが必要

少々悲観的な内容と思われるかもしれません。しかし、中には「共有持分の任意売却でも、高値で買い取ってくれる」「高値で売れるように仲介してくれる」という業者も存在します。

このような業者は「共有持分専門」「共有持分歓迎」という風に、ホームページで大きくアピールしているものです。もちろん、ただの宣伝ということもありますが、実際に共有持分に強い業者も多く存在します。

そのように「本当に強い業者」かを見極めるには、共有持分の買取りや仲介の実績が公開されているかが重要です。本当に強いなら実績が豊富にあるはずで、それをサイトで公開するのが普通といえます。

業者の公開実績は信用できるのか?

これはある程度信用できます。理由は「嘘をついていたら、内部情報でバレる」ためです。

社長が一人で経営していて、ホームページの更新もすべて自分でやっている、という会社だったら多少の嘘はつけるかもしれません。しかし、一定以上の規模の不動産会社で、そのようなことはありません。

通常はスタッフが数人はいるはずで「全員が家族・親族」という状況でもない限り、嘘の実績を公開するのは難しいのです。このため、不動産会社が公開している買取り・仲介の実績は、ある程度信用できるといえます。

(なお、宅建業は宅地建物取引士が1人いれば開業できます。そのため理論上は「社長1人の会社」もありえますが、実際に営業している会社でそのようなところはほぼありません)

なお、業者の選び方も含めて、共有持分の売却については下の記事で詳しく解説しています。

共有名義(持分)の家を売却する4つの方法~必要書類・費用・期間を解説~

2018.09.11

不動産の差押えは共有者への通知があるのか

差し押さえ通知

共有名義の不動産が差し押さえされるとき、役所から他の共有者に通知があるのか、という点も気になるでしょう。また「差し押さえをされたら権利はどうなるのか」という点も気になるかと思います。

これらの疑問についての回答をまとめると、下記の通りです。

通知が全員に届くかはケースバイケース

共有者の誰かが税金を滞納していて、その督促状・催告状・差押通知が全員に届くかどうかは、ケースバイケースです。簡単にまとめると下のようになります。

  • 他の共有者にも(形式上)納税義務がある場合…全員に届く
  • 他の共有者に納税義務がまったくない場合…滞納者だけに届く

わかりやすく「税」と書きましたが、銀行に対する返済の延滞なども同じです。要は「共有者に責任があるかないか」です。

他の共有者にも納税義務があるケースとは?

これは主に「固定資産税」です。固定資産税は共有名義であろうと「全員に納税義務がある」ものです。

このため、差し押さえの直前まで行けば「全員に差し押さえ通知が届く」可能性は十分にあります。このあたりは自治体のやり方によっても変わるものです。

通常の固定資産税の通知は、代表者だけに届く

差し押さえ通知や督促状でなく「普通の固定資産税の通知書」であれば、代表者だけに届きます。代表者は共有者全員の話し合いで自由に決めるものです。

  • 代表者が全員の固定資産税を納税する
  • 他の共有者が、後で代表者にその金額を払う

上のような流れで納税が実行されます。もちろん、代表者にお金を払うのは、後でも先でもかまいません(要は代表者が立て替えるということです)。

差押えは「滞納していた人のみ」実行される

通知については、ここまで書いた通り「状況によっては全員に届く」ものです。しかし、実際に共有持分を差し押さえることについては「滞納していた人の分のみ」となります。

ただし、これはあくまで「それで滞納分に足りる場合のみ」です。

滞納額に足りなければ他の人も差押を受ける?

滞納していたのが固定資産税の場合、先にも書いた通り「全員に納税義務がある」ものです。このため、共有持分の差し押さえ・競売だけで足りなければ、他の共有者の持ち分も差し押さえを受ける可能性があります。

ただ、固定資産税だけでそこまでひどい状況になることはめったにありません(固定資産税は500万円の不動産で年間7万円程度と、それほど高いものではないためです)。

共有者1人だけが2年程度固定資産税を滞納しても、所詮20万円程度の滞納額となります。これで「競売にかけても足りない」ということはめったにありません。

このため、特殊なケースを除けば「共有者の差し押さえで、他の共有者まで被害を受ける」ということはないと考えてください。

(なお、特殊なケースというのは「極めて広大な土地や、価値のある豪邸を持っている」という場合です。この場合は固定資産税が高くなるので、競売にかけても滞納額に足りないケースはあり得ます)

まとめ

海外の一軒家の競売のイメージ

以上、共有持分の競売について解説してきました。最後にポイントをまとめると、下のようになります。

  • 共有持分の競売が起きる原因は、主に2つある
  • 共有者の破産か、不動産の活用方法での意見の対立
  • 共有持分を競売にかける前には「共有物分割訴訟」が必要
  • 共有物分割訴訟は「裁判所の仲介で、共有状態を解消する」もの
  • 現物分割・代金分割など4つの方法が主に提案される
  • 競売は「代金分割」に当たる
  • 自分の持分を競売にかける場合、任意売却も検討すべき

不動産に限った話ではありませんが、何かを人と共有しているときは、その人とのコミュニケーションを円滑にすることで、あらゆる作業がうまく行くようになります。これは共有持分の競売や任意売却についても同じだと考えてください。

人間関係がこじれてしまっている場合でも、弁護士などを通じて話し合えば「互いの利益が一番大きくなる方法」については、話し合いやすくなります。自分の利益が大きくなることが専門家によって伝えられるなら、相手側も聞く耳を持ってくれることが多いからです。

共有持分を競売にかけるにしても、任意売却に持ち込むにしても、まずは感情的にならずに冷静に考えることが大事です。不動産会社・不動産鑑定士・弁護士など、多くの専門家のアドバイスを受けながら、最善の方法を探すようにしてください。