マンションの査定シミュレーションのサービスは、ここ5年ほどで飛躍的に増えています。マンションを高値で売りたい、高く貸し出したいというオーナーにとっては、有利な環境になりました。
しかし、サービスが増えた分「多過ぎて迷う」「どのように使えばいいのかわからない」と思うこともあるでしょう。この記事ではそのような疑問に答えるために、マンション査定シミュレーションの使い方や、おすすめのサイトなどをまとめていきます。
マンションの売却や賃貸を検討している方には、きっと参考にしていただけるでしょう。
なお、マンションの査定シミュレーションに近い一括査定のサービスとして、イエウールがあります。場合によっては、マンション専用の一括査定より高い査定価格が出ることもあるでしょう。
一括査定自体は無料で簡単にできるので、興味がある方はイエウールのチェックしてみてください。
Contents
マンション査定シミュレーションの使い方・3つのポイント
マンションの査定シミュレーションを使うときは、特に下の3つのポイントを意識するといいでしょう。
それぞれのポイントについて説明していきます。
できるだけ多くのサービスを使う
これは不動産の査定を受けるときの基本ですが「できるだけ多く受ける」ことが重要です。多くの査定を受けるほど、業者同士をいい意味で競争させることができ、本当の適正価格がわかります。
マンション査定シミュレーションは、一括査定とは違い「その1社だけで査定価格を出す」ことが多いものです。そのため、1つのシミュレーションを受けるだけでは、その価格が本当に適正なのかどうかわかりません。
もちろん、彼らもわざと安い値段で買い叩くなどのことはしないでしょう。しかし「他の会社だったら、同じマンションをもっと有効活用できる」という可能性もあります。そのため、査定価格の差はどうしても生じるのです。
このため、マンション査定シミュレーションを使うのであれば、できるだけ複数社で受けるようにしましょう。
早期に売却したい場合、訪問査定を早めに受ける
できるだけ多くの査定を受けることは大事ですが、中には「早めに売却したい」というケースもあるでしょう。
- お金がない
- 海外駐在が決まった
上記のような理由から「1カ月程度で売りたい」というケースもあるかと思います。そのようなときには、受ける査定シミュレーションをほどほどにしておくことも大事です。
査定シミュレーションはいわゆる「机上査定」であり、書類などのデータのみで行います。これでは本当の物件価値がわからないため、訪問査定をして初めて正式な見積もり価格が出るものです。
早めにマンションを売りたい場合、この訪問査定をできるだけ早く受けるようにしましょう。


資料の準備・修繕などの準備も早めに行う
マンションの査定シミュレーションの段階では、登記簿などの資料は必要ありません。しかし、査定価格に興味を持って本査定に進むとなると、こうした書類が必要になります。
また、訪問査定を受ける前に「明らかに修繕すべき部分」もあるでしょう。「マンションを売りに出す場合、リフォームはあまりしない方がいい」とも言われます。しかし、壊れている部分などの修繕は別です。
- 水回りに異常がある
- 障子・ふすまに穴が開いている
- 窓ガラスにヒビが入っている
上記のような状態を放置していたら、言うまでもなく査定価格が下がります。そして、これらの修繕にも「業者の手配~作業」までに時間がかかるものです。
訪問査定の直前で慌てないよう、こうした修繕も早めに済ませておきましょう。
マンション査定の注意点
マンションの査定を受けるときは、特に下の3点に注意が必要です。
以下、それぞれ解説していきます。
リフォーム・リノベーションは基本的にしない
このリフォーム・リノベーションというのは「修繕以上」のものです。
- 壁紙をきれいなものにする
- キッチンをおしゃれなものに交換する
このようなものですね。「明らかに機能的に問題がある」という部分を直す修繕ではなく、より綺麗な物件にするというリフォームです。
一見、こうしたリフォームは物件の価値が上がるように見えます。実際に上がることも多いものです。
しかし、リフォームにはコストがかかります。そのコストを上乗せして高く売らなければいけません。そうなると、逆に売れにくくなることもあるのです。
リフォームは人によって好みがある
ここでいうリフォームは「インテリア・内装をいじる」ものです。そして、言うまでもなくインテリアや内装には好みがあります。
あなたが良いと思って施したリフォームのデザインが、購入希望者の好みに合わない可能性もあるのです。「リフォームは自分で好きなようにするから、その分安くしてほしい」という買い手も多いのですね。
このように「余計な出費になる」可能性があるため、リノベーションやリフォームはしない方がいいのです。この点は下の記事でも詳しく解説しているので、興味がある方は参考になさってみてください。
訪問査定前のハウスクリーニングは不要
業者の訪問査定を受ける前に、プロによるハウスクリーニングを受けた方がいいのではないか、と考えるかもしれません。しかし、そこまでする必要はありません。
もちろん、以前がゴミ屋敷のような状態で、壁紙や天井に悪臭が染み付いているというような場合は、消臭工事などをするべきでしょう。しかし、そこまで酷い状態でない「普通の部屋」だったら、ハウスクリーニングは不要です。
ただ、部屋がきれいであることは絶対条件なので、年末程度の大掃除はしておくといいでしょう。
高い査定価格を安易に信用しない
これはどんなサービスでも見られることですが、顧客を引きつけるために「最初だけ魅力的なセールストークをする」という業者はわずかながら存在します。マンションの買取でいうと、最初だけ高い査定価格を提示するということです。
特にマンションの査定シミュレーションの場合、「訪問査定で価格が変わる可能性がある」ということは最初に言っています。そのため「訪問してみたら、想像よりも状態がひどかった」といって査定価格を下げることもできるのです。
このため、その業者が実際に買い取ってくれる価格は「訪問査定を受けてみるまで」わかりません。訪問査定で価格が下がったときに対応するためにも、複数の業者から訪問査定を受ける必要があります。
簡易査定の段階で1社だけを信用してしまうのはまずいということです。基本的にほとんどの業者は誠実に査定をしていますが、万に一つ混ざっている悪質な業者の手口にだまされないよう、訪問査定は必ず多めに受けるようにしましょう。
マンション査定AIのサービス・3選
マンションの査定シミュレーションをAIで行うサービスも増えています。代表的なものは下の3つです。
以下、それぞれのサービスについて解説していきます。
IESHIL(イエシル)
IESHIL(イエシル)は、東証1部上場企業のリブセンスが運営するサイト。首都圏限定で、マンションの査定価格をAIで出してくれます。
イエシルの詳細は下の記事を参考にしてみてください。
Renosy(リノシー)
Renosy(リノシー)は、東証マザーズ上場企業のGAテクノロジーズ(ジーエーテクノロジーズ)が運営するサイトです。こちらもやはりマンションに特化して、AIで価格の査定をしてくれます。
リノシーは売却査定だけでなく、その他の分野でもAIを積極的に活用しているのが特徴。社名に「テクノロジー」と入っている通り、不動産関連のIT技術で日本のトップレベルを走る企業です。
GAテクノロジーズとリノシーの詳細については、下の記事をご覧ください。
カウル
カウルは、株式会社Housemart(ハウスマート)が運営するサービスです。マンションの市場価値をAIで分析し、適正価格を表示するというサービスを提供しています。
提示された価格を見て興味がわいたら、そのまま売却のサポートも専門家に依頼できるのが特徴。この専門家とのやり取りもアプリでできるようになっています。
スマホ時代のマンション査定AIとして、特に優れたサービスといえるでしょう。
マンション賃貸査定・おすすめ3選
マンションの査定シミュレーションは、一般的には「売却価格の査定」を指します。しかし、大家さん向けに「賃料査定」をするサービスもあります。
ここでは、そのような「マンション賃貸査定」の中で、おすすめのサービスを3つ紹介します。
以下、それぞれのサービスの紹介です。
イエカレ
イエカレは不動産の総合情報サイトです。イクス株式会社という、創業15年の優良企業が運営しています。
イエカレは他の同様のサイトと比べて「賃料査定」が充実しているのが特徴。センチュリー21・住友不動産販売・東急リバブルなどの大企業が多数参加する一括査定なので、より適正な家賃相場を知ることができます。
この家賃査定のサービスも含め、イエカレについては下の記事で詳しく解説しています。
マイスミEX
マイスミEXは、東証1部上場企業の「じげん」が運営する不動産情報サイトです。同サイトは「賃貸管理資料の一括請求サービス」を提供しています。
これはイエカレのように簡単にできる「家賃の一括査定」ではありません。しかし、家賃以外の賃貸管理サービスもすべて詳しく理解できる資料をもらえる、というのがポイントです。
通常は個別に管理会社に問い合わせて集めなければいけない資料ですが、それを一括で請求できます。マンションの部屋を賃貸に出そうとしている、すでに出しているが新しい管理会社を探している、という方には特に役立つでしょう。
(マイスミEXの詳細は下の記事でまとめています)
ライフルホームズ
ライフルホームズは、東証1部上場企業のLIFULLが運営する不動産の総合情報サイトです。ライフルホームズは特に売却の一括査定で人気ですが、「家さがしアプリ」で、街を歩きながら家賃を調べられるというメリットもあります。
これは一般的には「借りる側」が使うサービスです。しかし、貸す側としても「自分の近隣の物件の相場を知る」ために使えます。
そもそも不動産会社・管理会社から提案された家賃が適切かどうかは、他の物件も見てみないとわかりません。他の同レベルの物件と比較して同等かそれ以上だった場合、適切な家賃と判断できます。


この「家探しアプリ」も含め、ライフルホームズのサービスについては下の記事で詳しく解説しています。
また、売野くんのセリフに登場しているスマイスターについては、下の記事を参考にしてみてください。
マンション査定時の掃除は必要?
「マンションの本査定を受けるとき、部屋の掃除は必要なのか」という点も気になるかと思います。これについてポイントをまとめると下記の通りです。
以下、それぞれのポイントについて説明します。
汚いと足元を見られるので、掃除は必須
業者が直接買い取る場合、部屋が汚いと足元を見られます。簡単にいうと「あまり状態が良くないので、このお値段になりますね」ということを言いやすいためです。
「査定と掃除は関係ない」は本当?
一部の情報サイトは「査定と掃除は関係ない」と書いています。これは「どのくらいのレベルで関係があると思うか」という基準の違いでしょう。
そうした情報を書いている方は「査定価格が数%変わる程度なら、大した違いではない」と考えているのかもしれません。しかし、たとえば1000万円で売れるマンションで3%違ったら「30万円」の違いになります。500万円のマンションでも15万円です。一般的な金銭感覚では、これは大きな違いでしょう。
「本気で交渉に来ていない」ことが伝わってしまう
マンションの査定というのは、ビジネスの交渉と同じです。こちらはできるだけ高く売りたい、業者はできるだけ安く買いたいという、ある種の「戦い」なのです。
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その戦いに「清掃をしっかりしないで臨む」というのは「本気で交渉に来ていない」ということです。海千山千の営業マンなら、そのような売り手を見たら「これは買いたたきやすい」と判断するでしょう。
そもそも、清掃を本気でしていないということは「マンション売却に関する情報も調べていない」可能性が高いのです。となると、安い値段を提示しても「まあ、そんなものか」と受け入れてくれる可能性が高くなります。
ここではわかりやすく、営業マンが少々あくどいような書き方をしていますが、もちろん悪意があるわけではありません。彼らも仕事なので、会社の命令で「できるだけ安く買う」必要があるのです。
そのため「お客さんが鈍感で、安く買い叩いても怒らない」と想定できる状態なら、彼らは安い買取価格を提示するのが普通です。そのように足元を見られないためにも、清掃はしっかりして臨む必要があるのです。
購入希望者の内覧時には、さらに念入りに清掃を
業者が直接買い取るのではなく、仲介によって売る場合は、購入希望者の内覧を受け付けることになります。このときはさらに念入りに清掃をしましょう。
「先に新居に引っ越して、何もないきれいな部屋で出迎える」というのが理想ですが、そこまでできないのが普通でしょう。そのため、生活しながらも部屋を常にきれいに保つ努力が必要です。
- 無駄なものはできるだけ捨てる
- 月極のトランクルームなどを活用して、物をできるだけ部屋から出す
上記の2点で物を減らすことによって、大分雰囲気が変わるでしょう。モデルルームがおしゃれに見えるのは「物がない」ことが大きな理由の1つです。その状態に近づくよう、できるだけ「物を減らす」ことそ意識しましょう。
中古マンション査定シミュレーション「QUICK」とは?
マンションの査定シミュレーションについて調べていると、QUICK(クイック)というサービスを目にすることがあるでしょう。QUICKとは何かを説明すると、下のようになります。
以下、それぞれ解説していきます。
マンションの売値の目安が5分でわかる
QUICK(クイック)は、マンションの売却価格の目安が簡単にわかるサイトです。クイックという名前通り、5分という短時間でわかります。
ウェブ上で物件情報を入力することで簡易査定をする仕組みです。入力する情報は主に下のようなものです。
- 物件住所
- 専有面積
- 最寄り駅
他にもいくつかの項目がありますが、5分で終わる内容なので、気軽に試せるのが魅力です。
大京穴吹不動産が運営
QUICKを運営しているのは、大手不動産会社の大京穴吹不動産です。同社は日本の不動産業界を代表する企業なので、知っている方も多いでしょう。
このような大手企業が運営しているという点でも、信頼できるサービスです。
まとめ
以上、マンション査定シミュレーションのサービスや、それに関連する知識をまとめてきました。最後に要点を整理すると下のようになります。
- 最短1分~5分などの簡単な作業で、マンションの一括査定をできる
- 普通の一括査定でなく、マンションに特化したものも多い
- 賃貸に出すときの家賃相場の一括査定もある
- AIが自動的に価格を出してくれるサービスも増えた
- マンション査定時の清掃は必須、業者のクリーニングは不要
- リフォームは基本的にしなくていい
もともとIT化が遅れていた不動産の業界ですが、近年はリブセンス・GAテクノロジーズなどのIT企業の参入によって、査定シミュレーションなどのサービスもどんどん進化しています。こうしたサービスをフル活用して、マンションをできるだけ高く売れるようにしましょう。