マンション売却前に、リフォームする方がいいの?

建物と噴水の風景

マンションを売却しようと思ったとき、まず頭の中に浮かぶ疑問があります。
売却前にリフォームを行う方がいいのだろうか、ということです。
誰もが、リフォームして綺麗にすれば高く売れるのではないかと考えますが、リフォームはお金がかかるので悩んでしまうのです。
ここでは、マンション売却前にリフォームをする方がいいのか、という疑問を考えてみたいと思います。

マンション売却で、内覧時に見られるポイントはココ

マンションの売却で、内覧は非常に重要なステップです。
ここでは、内覧時に見られるポイント、および、その時の注意事項について説明します。

内覧では、第一印象が重要

内覧では、物件の第一印象が非常に大切です。
「広い、綺麗、住みやすそう、快適に過ごせそう」など、内覧者が抱く気持ちは、物件の第一印象でほとんど決まってしまいます。
したがって、初めの印象がよくないと、これを挽回することは非常に難しくなってしまいます。
このため、内覧日前には、室内外の荷物の片づけや清掃を行い、物件を広く、綺麗にみせる努力が必要です。

キッチン・バス・トイレなど水回りは重点的に見られる

内覧で室内を点検する場合に、最も重点的に見られるのが水回りの部分です。
特にキッチンは、食事の準備や後片づけがしやすい造りになっているか、女性の細かい観察力で丹念に調べられるといってもよいでしょう。
水回りは、キッチンに限らず、浴室・トイレなど、衛生的な環境が求められるエリアです。
水アカやサビ・カビなどがあれば物件全体の印象が悪くなります。
内覧前には、日用品や小物類は片づけ、シンク・浴槽・便器は綺麗に磨き上げておくことが肝心です。

多少古くても安い物件が欲しい買い手も

買い手の中には、物件が多少古くても、その分安く買えればよいという方がいます。
多少の古さといっても、上述したキッチン・浴室・トイレなど水回りのカビや汚れは極端に印象が悪くなるため、綺麗に磨き上げておく必要がありますが、その他のフローリングや壁クロスの小さな傷や汚れは特に直さなくてもよいという意味です。
このような買い手には、物件を安く買い、後で自分の好みの形態にリノベーションやリフォームを行う考えの方が多いのです。

売却前リフォーム・クリーニングの費用

次に、リフォームやクリーニングを行うと、いったいどのくらいの費用がかかるか見ていきましょう。

本格リフォームの相場

リフォームを行うのは段階があり、室内のほとんどに手を入れる本格リフォームから、必要な箇所だけ最低限度行う簡易リフォームまで、その規模がまちまちです。
ここでは、内装・設備のほとんどを一新する本格リフォームの相場を紹介します。

項目

費用

フローリング張替え

20~80万円
壁クロス張替え

10~50万円

キッチン

50~150万円

浴室

20~150万円

トイレ

10~40万円

合計

110~470万円

リフォームの費用は住宅の面積や部屋数、また居住中か空室状態か、さらに使用する資材のグレードなどにより異なってきます。
一般的には、面積や部屋数が多い方が、居住中の方が、使用する資材のグレードがよい方が、費用が大きくなります。

上記の表で、キッチン工事はシステムキッチンを新しいものに交換する場合を想定しています。
システムキッチンの規模・グレードにもよりますが、多くの場合、システムキッチンセット一式の設備代だけで50万円程度がかかります。
それに、古いキッチンの解体撤去費、新しいキッチンの取付工事費、給排水工事一式費用、養生費、廃材処分費などが加わります。
したがって、上表のキッチンリフォーム50万円からというのは、キッチンサイズが小さく、グレードも高くないケースで最小限の費用とみることができます。

一般的に、マンションのフルリフォームでは、合計で300万円前後の費用がかかるケースが多く、まとまった額の出費を覚悟しなければなりません。

簡易リフォームの相場

次は、床と壁、そして必要な箇所だけに限定して行う簡易リフォームの相場をみていきましょう。

項目

費用

フローリング

1万円前後/㎡(施工費込み)

6畳で約12万円

壁(クロス)

800~1400円/㎡+施工費

6畳(40㎡)で約6万円

畳表替え

5000円~1万円/畳

6畳で約3~6万円

部屋の内部で、最も汚れや古さが目立つのは、床・壁などです。
したがって、その部分だけを行う簡易リフォームの方法があります。
しかし、フローリング・クロス・畳が新品になると、手を入れていないキッチンや浴室などの古さがかえって目立ってしまう問題もあります。
これは、汚れ・傷・古さの程度により判断すべきと考えられます。

ハウス・クリーニングの相場

住宅や設備には手を加えず、クリーニングだけを実施する場合、その費用はどの程度かかるのでしょうか。

間取り

費用

1ルーム~1K

2万円~4.5万円

1LDK~2LDK

2.5万円~7.5万円

3LDK~

5万円~

クリーニング代をみると、単身者用の1ルームでは面積が狭いため比較的安くなっていますが、ファミリータイプの3LDKでは5万円以上と、1ルームの倍を超える価格が多いようです。

売却前リフォームは効果があるか

マンションの売却前にリフォームを行おうとする理由は、物件を綺麗な状態にして、高い価格で、時間的にも早く売りたいからです。
それでは、売却前にリフォームを行うと、そのような効果が本当に見込めるのでしょうか。

売却前リフォームで高く売れるか?

まず、売却前にリフォームを行うと高い価格で売れるかどうかですが、これはほとんど期待が持てません。
リフォーム費用を上乗せすれば、販売価格が高くなり売れ難くなってしまいます。
かといって、リフォーム費用を上乗せしなければすべて売主の負担となってしまい、高く売るためにリフォームした意味がなくなってしまいます。

買い手は、自分たちが暮らす場面を想像しながら内覧を行っています。
「キッチンの蛇口は使い難そうだから新しいものに交換し、壁は自分が好きな色に変え、できればシンクももっと大きいサイズに・・・その費用が必要になるから、物件はできるだけ安くしてもらおう。」
買い手がこのように考えているにもかかわらず、先にリフォームを行ってしまい、その費用を販売価格に上乗せすると売れなくなってしまいます。

売却前リフォームで早く売れるか?

次に、売却前のリフォームで早く売れるかという問題ですが、これはリフォーム費用を販売価格に上乗せするかどうかと関係があります。
売主側に早く売り急ぐ事情があり、リフォーム費用を上乗せしない元の価格で売る場合には、早めに売却しやすくなると考えられます。
しかし、リフォームの規模にもよりますが、工事期間中は販売ができないため、早めに売りたいだけのためにリフォームを行うのは、慎重に考えた方がよさそうです。

故障の修繕は必須

これまでの説明で、マンションを売却する前にリフォームしても、高く売れる期待はあまり持てないことがわかりました。
それなら、なにも手を加えずに掃除だけすればよいかというと、そうではありません。

マンションは部屋にエアコンや給湯器などの付帯設備があり、これらの設備機器も販売価格に含まれています。
したがって、マンションを売却する場合は、これらの付帯設備が正常に稼働するかどうかを事前に確認するのは売主の義務となります。
売買契約時には、これらの付帯設備の状況について、一覧表を作り買主に引き渡すことになっています。
この付帯設備表で、「故障あり」と記載されていれば、買主がそれを承知で買ったことになりますが、「故障なし」と記載されていたにもかかわらず、正常に稼働しなければ売主の責任となります。
エアコンや給湯器だけでなく、キッチンシンクや浴槽に水漏れがないか、トイレが正常に流れるかなども確認しておく必要があります。

また、リフォームはしないにしても、襖や畳の破れやフローリングの目立つ傷などは修繕の範疇であり、売却前に当然補修しておくべきでしょう。

売却前のリフォームは、必要最小限に行う

これまで、リフォームを行うにはある程度のまとまった費用が必要で、その費用を売却価格に上乗せすることは難しい場合が多いことを説明しました。
このことから、売却前のリフォームは必要最小限に行う方がよさそうですが、具体的にはどの程度綺麗にしておけばよいか考えてみましょう。

売却前のリフォームより、日頃からのメンテナンスが大切

売却前に慌ててリフォームを行っても、高い価格で売れるとは限らないとなると、どのような方法が考えられるのでしょうか。
物件の資産価値を守り、その売却価格が下落するのを防ぐ方法は、売却前のリフォームではなく日頃からの適切な管理です。

物件は、定期的に点検し、こまめに補修を行うとともに、交換が必要な箇所は適宜新しいものと取り換え、老朽化の進行をできるだけ遅らせることが何よりも重要です。

排水管の水漏れによる腐食や窓際の結露、そのことによるサビやカビの発生など、物件を老朽化させる原因は意外と身近に潜んでいます。
症状が軽いうちに手を打てば簡単に直せるものが、放っておくと大事になってしまいます。

日頃から、適切にメンテナンスされた物件は、内覧時に買い手から、「大切に使ってきた住宅だな。」「清潔感が感じられる。」など好印象を持たれやすいのです。

売却前に本格リフォームは行わない

売却前に慌ててリフォームを行っても、高い価格で売れるとは限りません。
逆に、リフォームに要した費用を売却価格に上乗せできず、その分が赤字になる可能性もあります。
特に本格リフォームは、前述したようにまとまった額の費用を要することから、特別な事情がない限り見合わせる方が無難といえます。

それでは、簡易リフォームやハウス・クリーニングは行う方がよいのでしょうか。
こちらも、一概に行うべきとはいえません。
業者に相談すると、費用を抑えるとの理由で簡易リフォームやハウス・クリーニングを勧められる場合がありますが、よく考えるべきでしょう。

売主に時間があるなら、自分で室内の清掃やある程度のクリーニングはできます。
浴室・トイレ・キッチンなどを専用洗剤で磨き上げ、カビやサビがある箇所はカビとり・サビとり剤を使えば見違えるように綺麗になります。
キッチンの換気扇は専用クリーナーを使えば油汚れも落とせます。
ハウス・クリーニングも、やる気と時間さえあれば、自分でもある程度のことができるのです。

買い手の意向を確認する

売却前にリフォームを行うかどうかについて、買い手の意向を確認することが大切です。
買主が、リフォームを行ってから引き渡してほしい意向を持っている場合は、売買契約前に、リフォームの内容と費用分担の相談を行うべきです。

一方、リフォームなしで安く買いたい意向の買い手に対しては、自分で清掃とある程度のクリーニングだけを行い、物件を引き渡します。
このような買い手は、買い取った後に、自分の好みの形態にリノベーションやリフォームを行うケースが多いとみられます。

いずれにしても、マンションの売却にあたり、買い手や内覧者の意向を確認せず、売主の判断でリフォームを行うことは、メリットがあまりないといえます。

まとめ

マンションの売却は、多額の資金が動く非常に大きな取引です。
売り手は、少しでも高く売りたいと思い、一方の買い手はできるだけ安く買いたいと考えています。
ここでは売主側の視点に立って話を進めてきましたが、売却にあたっては、買い手側がなにを思い、どのような意向を持っているのかについて、考えてみることが重要です。
不動産売買は、契約当事者双方の意向が合致しなければ、成り立ちません。
売主の方はその点をよく認識し、自分の一方的な思い込みで売却活動を進めないように注意することが肝心です。

また、売る前に部屋を綺麗にすることと、専門業者に依頼してリフォームやハウス・クリーニングを行うことを直結して同じ意味に解釈しがちですが、これも一旦立ち止まってよく考える必要があります。
専門業者にお金をかけて頼まなくても、自分自身である程度部屋を綺麗にするという選択肢も並べ、総合的に検討することが大切です。

マンションの売却では、ほんの少しの工夫や努力で、売れる時期や価格などの結果が違ってきます。
売却を検討されている方は、専門業者の意見も取り入れながら、悔いのない売却ができるよう準備していただきたいと思います。