抵当権が付いた不動産も売却できる!任意売却のルールなどを徹底解説!

住宅ローンなどの抵当権が付いた不動産は、売却するために銀行などの許可をとる必要があります。その中でも特にルールが厳しいのが、普通の抵当権でなく「根抵当権」が付いた不動産の売却です。

  • そもそも売却できるのか
  • できないケースはあるのか
  • 根抵当権は、普通の抵当権とどう違うのか

このような疑問を持つ不動産のオーナーさんも多いでしょう。この記事ではこれらの疑問への答えも含め、根抵当権が付いた不動産の売却についてまとめていきます。

現時点で不動産に根抵当権が付いていて、その売却を検討しているという方には、特に参考していただけるでしょう。

この記事を読んでわかること
  • 根抵当権とは何か
  • 根抵当権が付いた不動産を売却する手順
  • 根抵当権が付いた不動産の任意売却
  • 根抵当権を抹消できないケース
  • 根抵当権のデメリット
  • 根抵当権付きマンションの賃貸は安全か
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根抵当権とは

積木の家と印鑑

まず根抵当権とは何かを説明すると、下のようになります。

以下、それぞれ解説していきます。

「繰り返し借りられる」抵当権

根抵当権は「繰り返し借り入れをできる抵当権」です。普通の抵当権は「完済したら終わり」です。

住宅ローンの完済を想像すればわかるでしょう。あるいは自動車ローンでも同じです。

しかし、根抵当権では終わりません。完済したあと、たとえば限度額が2000万円なら「また2000万円まで借りていい」のです。

カードローンに似た原理

上の説明を読んで「カードローンとかキャッシングみたいだな」と思った人もいるかもしれません。その通りで「極度額を設定する」というルールはまったく同じです。

(極度額とは、俗に「限度額」や「枠」と呼ばれているものです)

カードローンとの違いは「担保がある」ということ。抵当権の一種なので当然ですが、抵当の登記をできる不動産などを担保にしています。

(カードローンはほとんどが無担保です。※稀に不動産担保のものもあります)

普通の抵当権との違い

普通の抵当権と根抵当権の違いは、上に書いた通り「繰り返し借りられるかどうか」です。

  • 普通の抵当権…借りられない
  • 根抵当権…借りられる

「極度額」については、下のような違いになります。

  • 普通の抵当権…ない
  • 根抵当権…ある

連帯保証人になる人のリスクについては、下のようにいえます。

  • 普通の抵当権…低い
  • 根抵当権…高い

根抵当権の方がリスクが高いのは「繰り返し借りるほど、破産のリスクも高くなる」ためです。

民法の条文

参考までに、根抵当権を規定している民法の条文も引用します。

(根抵当権)
第398条の2
抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
民法第398条の2(Wikibooks)

この文章をわかりやすく要約すると、ここまで書いた内容になります。

根抵当権が付いた不動産の売却・3つの手順

3ステップのイメージ

根抵当権が付いた不動産の売却は、下の3つのステップで行います。

以下、それぞれのステップについて解説していきます。

残債の確認

まず、住宅ローンの残高がどれだけ残っているかを確認します。この残債務の金額によって、売却がスムーズにできるかどうかが決まります。

  • 売却価格が残債務を上回る…簡単に許可をとれる
  • 売却価格が残債務を下回る…許可をとるのが難しくなる
売野くん
許可というのは、銀行とか金融機関のですよね?
不動先生
そうです。完済するまで不動産は彼らの所有物なので、彼らの許可がなければ売却できません。

後者の許可がとりにくいのは「残りのお金をどう返済するのか」という説明が必要だからです。住宅ローン返済が予定通りできなかった以上、その先の返済についてもかなり厳しく審査されます。

もちろん、根抵当権が付いた不動産の売却でも「計画的」なものもあります。何か健全な事情や目的で売却する場合は、そこまで厳しく見られることはありません。

売買契約

買い手と正式に売買契約をします。実は、買い手との値段交渉などは、上に書いた「銀行の許可をとる」という段階より前に終わっています。

銀行の許可をとるために「こういう人が、○○万円で買うといってくれている」と説明する必要があるためです。つまり、交渉はすでにまとまっているので、銀行の許可がおり次第、すぐに契約できます。

残金決済

不動産を売却したらお金が入ります。それを銀行に支払って、根抵当権を解除してもらいます。この支払い作業が残金決済です。

根抵当権の抹消手続きは法務局で行うものですが、これは司法書士に依頼するケースが多いものです。こうした手続きの司法書士への依頼については、下の記事を参考にしてみてください。

不動産売却では司法書士が必要?~費用の相場や登記の必要書類を解説~

2018.11.21
不動先生
もっとも、銀行の根抵当権の場合、大抵は銀行と契約している司法書士が行いますが…。

根抵当権が付いた不動産は任意売却も可能

書類と積木の家

根抵当権が付いた不動産では、任意売却も可能です。その理由やポイントをまとめると、下の通りです。

以下、それぞれ詳しく説明していきます。

破産されるよりマシなので、任意売却は応じてもらえる

これは根抵当権が付いた不動産に限った話ではありません。不動産で住宅ローンなどを借りている場合、大抵は任意売却に応じてもらえます。

理由は、銀行や金融機関も「破産してほしくない」ためです。確かに、予定通り「普通に完済」してくれたら一番よかったでしょう。

しかし、任意売却の話が持ち上がったということは「もうそれはできない」ということ。それなら「任意売却で大部分を返済してくれる方がいい」と考えるのが普通です。

もちろん、それでも全額にはまったく届かないかもしれません。たとえば新しい家で「ちょっとした火事を起こしてしまった」などのことがあれば、任意売却でも高い値段はつかないでしょう。

それでも「腐っても不動産」です。自動車の売却などに比べれば遥かに高額になります。その借り手の資金繰りが厳しい以上、一番高く売れる不動産を売ってもらうことは、銀行の側からしても良いことなのです。

債権者が複数いる場合、全員の合意が必要

債権者とは「貸している側」です。住宅ローンの場合、大抵は「銀行だけ」が債権者になっています。

しかし、中には債権者が複数いるケースもあるでしょう。この場合は、全員が合意しなければ任意売却はできません。

売野くん
一人だけの反対のせいで、ずっと止まることもあるわけですか?
不動先生
はい。ただ、明らかにおかしい場合は裁判にかければ、一人の反対を無効にできる可能性もあります。

任意売却ができないケース

上記の「債権者の反対」以外にも、任意売却をできないケースはいくつかあります。この点は下の記事で詳しく解説しています。

任意売却できない7つのケース~売れなかった場合の流れも解説!~

2019.02.04

根抵当権を抹消できないケース

権利に縛られた家のイメージ

根抵当権を抹消できないケースは、主に下記の1と2です。そして、抹消できないことで起きやすいトラブルが3です。

  1. 全額返済をできない
  2. 債権者が失踪・倒産している
  3. 売買が不成立になり、買い手に賠償を請求される

以下、それぞれ詳しく解説していきます。

全額返済をできない

全額返済できず、1円でも借り入れが残っていたら、根抵当権を外すかどうかは「完全に債権者の自由」です。そのため、たとえばあなたが任意売却を申し出ても、銀行は根抵当権の抹消を拒否できます。

売野くん
任意売却で全額返済できるとしても、ダメなんですか?
不動先生
はい、ダメです。理由は「順番」があるからです。
  • 任意売却をするには「抵当権の抹消」が必要
  • 銀行は、全額返済されるまで抵当権抹消の義務がない
  • そのため、銀行がわざと動かなければ、あなたは任意売却ができない
  • 「任意売却すれば全額返済できる」と、わかっていてもできない

「こんなことをして、銀行に何のメリットがあるのか?」と思うかもしれません。この理由を説明します。

融資残高・根抵当権の件数が多いことが、人事で有利になる

銀行は営利企業なので、できるだけ稼ぐ必要があります。そして、稼げる人材が人事で優遇されて出世します。

銀行の融資部門では、貸付残高や根抵当権の件数が多いことなどが、評価の基準になるのです。そのため、上記の例のように「任意売却によって根抵当権を外したい」と申し出る利用者がいても、拒否する担当者がしばしばいます。

売野くん
そんなことしたら、銀行自体が嫌われませんか?
不動先生
その通りです。実はそれで「億単位の法人顧客が、ライバル銀行に移ってしまった」という実例があります。

その実例は、幻冬舎ゴールドオンラインの『銀行が設定する「根抵当」の解除が困難を極める理由』という記事に書かれています。興味がある方は検索して読んでみてください。

売野くん
にしても、そういう実例があるなら、何でわざわざそんなことをするんですか?
不動先生
まだ実例があまり多くないのと、銀行員の目的は自分の出世で、銀行全体の評価ではないからです。

このあたりは、トップが人事での評価基準を変えることで対応できるでしょう。しかし、そうでない銀行の場合は、上のような「少々ねじれた心理での、根抵当権抹消の拒否」という事態が起こりえます。

つまり「しようと思えば全額返済できるのに、させてもらえない」という状況になることも覚悟しなければいけないのです。根抵当権とはそういうものだということを、契約の段階で理解しておきましょう。

債権者が失踪・倒産している

これは最終的には抹消できるのですが、手続きが少々面倒になります。たとえば貸した相手(債権者)が法人で、そこが倒産して法人格も消滅していたとしましょう。

この場合、「根抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟」という訴訟が必要になります。異様に長い名前ですが、下のように区切ると意味がわかりやすくなるでしょう。

「根抵当権」の「設定登記」を「抹消する登記」の「手続き」を「請求」する「訴訟」

売野くん
こんなに長い文章を、1つの単語に凝縮してたわけですね…。
不動先生
こういう見た目が難しい単語でも、分解してみるとそれほどでもない、ということは多いです。

何はともあれ、このような訴訟を提起して、それが裁判所に認められれば、根抵当権を抹消できます。相手が倒産している以上、大抵は認められると考えていいでしょう。

売買が不成立になり、買い手に賠償を請求される

根抵当権が付いた不動産は、この抹消がされなければ売却できません。「銀行が抹消に応じてくれるだろう」と期待して売買契約を締結しても、銀行から抹消を拒否されることがあります。

この場合、売買が不成立になります。この場合、買い手が損害賠償を請求することもあるでしょう。

買い手が損害賠償を請求できるのは、下のようなケースです。

  • その物件を使用する前提で、あらゆる準備をすでに進めていた
  • 特に事業者で、内装の設計や備品の購入などをしていた
  • 契約にかけた日数の分、売上を失った

3つ目については、その事業者の売上から「1日休むとこれだけの売上が失われる」という計算ができます。これは交通事故などでよく「逸失利益」と呼ばれるものです。

その逸失利益や、すでに始めた準備のコストなどを請求される可能性があります。これは契約の規模によりますが、大規模な契約の場合、このようなリスクもあると理解して下さい。

根抵当権のデメリット

デメリット

根抵当権のデメリットを一覧にすると、下の通りです。

以下、それぞれ詳しく解説していきます。

完済しても銀行が外してくれない

根抵当権は「繰り返し借りられる」のが魅力です。これは、設定した銀行の側としては「繰り返し貸したい」のです。

貸して利息をとるのが彼らのビジネスなので、彼らとしては安心できる人ならどんどん貸付したいといえます。そして、一度でも完済した人は信用できるので、ますます貸したいわけです。

そのため、根抵当権だと「完済しても、銀行がなかなか抵当権を解除してくれない」ということがあります。強く交渉すれば外してもらえますが、交渉が必要というのが人によってはデメリットとなるでしょう。

次以降の融資も強制的に有担保になる

根抵当権ですでに枠が用意されているわけです。そのため、次にその銀行から借り入れしようとしても「この枠の中でやってください」となります。

抵当権の一種である以上、住宅・土地などの担保はずっと入ったままです。この「有担保ローン」をずっと使わされるわけです。「なかなか無担保のローンで借りさせてくれない」ということですね。

新しいローンの審査に落ちやすい

根抵当権が付いた不動産ローンは、大抵極度額が大きいもの。その金額まで、その人は自由に借りられるわけです。

たとえばその極度額が1000万円だったら「いつでも1000万円の借金状態に転落する恐れがある」といえます。そのような人に、他の銀行や消費者金融などは、あまり融資をしようとしないでしょう。

このような理由から「根抵当権を設定されている銀行以外の場所」からはお金を借りにくくなります。

極度額が大きいと手数料が増える

極度額が大きい場合、管理も厳重にする必要があります。システムのコストや人件費がかかるため、手数料などの諸費用が増えます。

それでも「たくさん借りたいので極度額が大きい方がいい」という場合は問題ないでしょう。しかし「そんなに借りるつもりがない」「これほど大きな極度額はいらない」という場合、無駄に諸費用がかかってしまいます。

このような点で「あまり借りるつもりがない人」には、根抵当権はデメリットが大きいといえます。

根抵当権付きマンションの賃貸は大丈夫?

賃貸住宅のイメージ

賃貸マンションに住もうとして、不動産会社の担当者から「根抵当権が付いている」という説明を受けることもあるでしょう。このとき「どんな問題があるのか」「住むのはやめた方がいいのか」などと悩むかと思います。

この結論をまとめると、下の通りです。

以下、それぞれ詳しく説明していきます。

競売になったら半年で出ていくことになる

根抵当権付きのマンションは、オーナーがまだ住宅ローンなどを借りているということ。そして、オーナーがその返済をできなくなったら、マンションが競売にかけられます。

(マンションと書いていますが、アパートでも一戸建てでも同じです)

競売になったら、新しい所有者から立ち退きを要求される可能性があります。少なくとも、前のオーナーとの賃貸借契約は終わります(最初にそういう説明があったはずです)。

そうなっても半年は住めますし、その半年の家賃は変わりません。ただ「半年で引っ越す手間・費用」などの負担があります。

普通の抵当権でもこのリスクは同じ

上のように書いたものの、こうした競売のリスクは、普通の抵当権でも同じようにあります。普通の抵当権だろうと根抵当権だろうと、オーナーが返済できなくなったら競売になるのです。

そして、ほとんどのマンションはオーナーが住宅ローンを借りて購入しています。現金で購入するようなオーナー(投資家)はほとんどいません。

そのため、根抵当権や普通の抵当権が付いていることを気にしたら、借りられる物件がほとんどなくなってしまうのです。

不動先生
すでに借り入れを完済したような築古のマンションというのもありますが…。
売野くん
それだけ築古だと、根抵当権なしでも住みたいとは思わないかもですね。

結論…気にする必要はない

結論を言うと、これから賃貸住宅を借りる人は「何らかの抵当権が付いているかどうか」は気にする必要がありません。普通の抵当権でも根抵当権でも同じです。

上に書いた通り、気にすると「賃貸物件を借りられなくなってしまう」わけです。実際に多くの人が抵当権付きのマンション・アパートを借りていて、問題なく生活しています。

このため、賃貸契約の際に不動産会社から根抵当権の説明を受けても、特に心配する必要はありません。

まとめ

抵当権契約書

以上、根抵当権が付いた不動産の売却について解説してきました。最後にポイントをまとめると、下のようになります。

  • 根抵当権が付いた不動産の売却には金融機関の許可が必要
  • 完済しない限り、抹消手続きをしてもらえないこともある
  • 根抵当権が付いた不動産も任意売却は可能
  • しかし、任売は「先に完済」できないため、拒否されることも
  • 根抵当権が付いた不動産を賃貸で借りることは、特に問題ない

根抵当権が付いた不動産の売却は何かと難しいものですが、解決策は探せば見つかるものです。銀行から「完済させないような意地悪」をされた場合でも、ライバル銀行に相談するなどの方法によって、対策を見つけられるでしょう。

もちろん、不動産会社に相談するのも有効です。他の銀行にしても不動産会社にしても、まずは金融や訳あり物件に強い専門家に相談するようにしましょう。