連棟式建物を高値で売却するための3つのポイント~切り離し解体の費用やルールも解説!~

人気テレビドラマ「テラスハウス」の影響で、連棟式建物の人気が高まっている昨今。「人気が高まっているうちに売りたい」と思っている方も少なくないでしょう。

しかし「連棟式建物は売れない」「業者に買い叩かれる」などの体験談を見て、不安に思っている方もいるのではないでしょうか。結論を書くと「そのようなケースもあるが、業者選びをしっかりすれば高値で売れる」といえます。

この記事では、そのように「高値で連棟式建物を売却する」ために役立つ、下のような内容を解説していきます。

  • 連棟式建物とは、そもそも何か
  • 再建築の可否などのルールは、どうなっているのか
  • 切り離し工事の費用はいくらかかるのか

この記事を読んでいただくことで、より有利な条件で連棟式建物を売却できるようになるでしょう。

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Contents

連棟式建物とは

テラスハウス

連棟式建物の売却について理解するためには、そもそも「連棟式建物とは何か」という定義を正確にする必要があります。こうした基本を理解することで、売却のノウハウも「本質的な部分から理解できる」ためです。

そのような理解の助けとなるよう、ここでは「連棟式建物とは何か」を解説していきます。

複数の建物がつながっている住宅

連棟式建物とは「いくつかの建物がつながった住宅」のことです。「連棟した建物」という、文字通りの意味となります。

「連棟式住宅」と呼ばれることもありますが、これも同じ意味です。

「テラスハウス・タウンハウス・長屋」と呼ばれる

長屋

連棟式建物のタイプは、大別して3つに分けられます。下の3種類です。

  • テラスハウス
  • タウンハウス
  • 長屋

特に「テラスハウス」はテレビドラマでよく聞く単語なので、知っている人が多いでしょう。「長屋」も、時代劇や昔の日本を扱ったマンガなどでよく見聞きしているかと思います。

テラスハウス・タウンハウス・長屋の違い

いずれも連棟式建物ですが、これら3つの違いは下の通りです。

テラスハウス 2~3階建て。洋風。土地の所有権がある
タウンハウス 2~3階建て。洋風。土地の所有権がない
長屋 1~2階建て。和風。土地の所有権の有無は、特に定義されていない

土地の所有権はケースバイケース

「建物がつながっていると、土地の所有権はどうなっているのか」と思うでしょう。実は、これは連棟式建物の中でも「それぞれ」です。

  • 戸別に所有権がある…テラスハウス・長屋
  • 戸別の所有権がない…タウンハウス・長屋

上記のようになります。長屋はどちらにも含まれます。この点も含めて、三者の違いを説明していきましょう。

連棟式建物の売却~高値で売るための3つのポイント~

テラスハウス

連棟式建物は特殊な物件のため、高値で売るためには「連棟独特のポイント」を理解しておく必要があります。ここではそれらのポイントを解説していきます。

古い建物は、所有者全員での建て替えも考える

あまりに古い建物は、見た目が悪いだけでなく防災上の不安もあります。そのため、普通の一戸建てでも「リフォームしてから売る」パターンが多いものです。

しかし、連棟式建物だとそのリフォームを自由にできません。これが売りにくい原因ですが、場合によっては「他の所有者も全員、リフォームしたがっている」ということがあります。

その場合、各所有者と交渉し、全員一致でリフォーム・建て替えをするのも一つの選択肢です。こうして物件の魅力を高めれば、高値で売れる可能性が高くなるでしょう。

道路との隣接を改善し「普通の一戸建て」にして売る

単純にいえば、連棟式建物は「切り離せば普通の一戸建て」になります。この時点で騒音のデメリットは解消するため、売却はしやすくなるものです。

それでもまだ売れにくい原因は「道路との位置関係によっては、その工事ができないこと」です。これは「再建築」の段落で詳しく解説しますが、切り離すことで、何人かの持ち分が「再建築不可」になってしまいます。

「再建築不可」になることがわかっている場合は、切り離しができない

切り離しをしたら再建築不可の条件に該当する―。こうわかっている場合は、切り離し工事自体ができません。また、万が一例外的にできたとしても、再建築不可物件というだけで、非常に売却しにくくなります。

このため、切り離して普通の一戸建てにするなら「再建築不可にならない工夫」が必要なのです。

そのために「道路との隣接」を改善する

そのために必要なことは、各戸と道路の隣接を改善することです。まず、下の画像をみてください。

図解

通常はこのように「Aだけ」が公道に接しています。これはもちろん「一つの例」です。実際には「Cが接している」こともあれば、「AとBが接している」など、さまざまなパターンがあります。

何にしても、上の図の場合「Aが公道に接している」ので、この土地には「建物を建てていい」し、「再建築もできる」のです。しかし、3つを切り離してしまうと、B・Cは公道に接することができません。

そのため、BとCは「再建築不可」となってしまいます。再建築不可になったら当然売れないため、工夫をする必要があります。それが下のものです。

図解

土地を少しいじって「BとCが公道に隣接する」ようにしています。こうすると、A・B・Cのすべてが「単独で建て替えなど、何でも自由にできる」ようになります。

このため、いずれの物件でも売りやすくなります。B・Cは少々売りにくいですが、それでも以前よりは断然売りやすくなるものです。

どうやってこの工事をするのか

実は、それが一番の難問です。図にするだけなら簡単ですが、現実に実行するには、下の2つの問題があります。

  • 土地の分け方を決めなければいけない
  • 決めた後、実際に工事しなければいけない

どちらも大変ですが、特に大変なのは「分け方を決める」ことです。理由は下の通りです。

  • BとCの道路は「新たにできる」もの
  • その分「家用の土地を削減する」必要がある
  • 誰がどれだけ削減するのか、で揉める

BとCのための道路を造るわけですから、Aは「うちの土地が削られるのは嫌だ」というでしょう。一方、BとCは(Aが切り離しをしたがっているのであれば)「嫌ならいいよ。代わりに切り離しは許可しないからな」となります。

このようにそれぞれの言い分があるため、まず「話をまとめる」のが最難関です。そして、無事にまとまっても今度は「大規模な工事」が必要です。建物の解体だけでなく「道路工事」まであるわけです。

売野くん
果てしなく大変ですね。
不動先生
はい。そのため、この方法で売却するなら、最短でも1年、平均2年はかかると思ってください。

訳あり物件に強い不動産業者を探す

連棟式建物のように権利が複雑な物件は「訳あり物件」に分類されます。こうした訳あり物件が強い業者に相談することで、より高値で売りやすくなるものです。

イエウール 「訳あり物件に強い業者」の探し方はいくつかありますが、特に簡単なのは「一括査定サイト」を使うこと。上の画像のイエウールなら、全国約1700社の不動産業者が参加しており、その中には訳あり物件に強い業者が多く存在します。

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売却時に関する3つの注意点

家と電卓

連棟式建物は権利が複雑な物件のため、売却に関する注意点も多くあります。ここでは、その中で特に注意すべき3つのポイントを説明していきます。

建物全体の売却では、他の住人の許可が必要

連棟式建物の売却は「自分の持分だけ」なら、自分の独断でできます。これは、普通の一戸建てでの共有持分の売却(自分の分だけ売る)と同じです。

共有名義(持分)の家を売却する4つの方法~必要書類・費用・期間を解説~

2018.09.11

しかし「建物全体」を売ろうとすると、他の住人の許可が必要になります。当然ながら、建物の中の他の部分については、それぞれの所有者がいるためです。

全体で売れないと価値が下がる

上記の点については「別に自分の分だけ売れれば問題ない。処分したいだけだから」という人もいるかもしれません。その場合はもちろん、何も問題ないでしょう。

しかし、建物は「一部分しか使えない」となると、価値が大幅に下がるものです。つまり「価値が下がる」というのを覚悟で売らなければいけません。

他の住人が売りたがっているなら、共同で売却する方がいい

もし他の住人も「この家を売りたい」と思っているなら、共同して売却する方が「全員の利益」になります。このため、可能であれば他の住人に「家を売る予定はないか」ということを、さりげなく確認してみるといいでしょう。

あまり直接的に尋ねると、財産に関わることなので警戒されてしまいます。そのため、あくまで「さりげなく」聞き出すようにしましょう。

売野くん
事前調査の段階から、かなりコミュニケーションが必要になりますね。
不動先生
はい。連棟や共有持分など、人と権利を共有しているものは、とにかくコミュニケーションが命です。

解体(切り離し)も許可が必要

解体工事

連棟式建物は、解体・切り離しの工事にも、住人全員の許可が必要となります。このため「自分の持分だけ切り離して売る」という場合も、かなり複雑な交渉が必要です。

住人の誰か一人でも反対していたら、工事はできません。「壁や柱の補強もしっかりして、迷惑は一切かからないようにする」と約束しても、その住人が反対する限りは「どんな工事もできない」のです。

売野くん
裁判にかけたらどうですか?
不動先生
それなら裁判所から許可が出る可能性があります。ただし、反対する人への補償や裁判費用などは負担する必要があります。

切り離しも困難である

仮に住人全員の許可がとれたとしても、今度は「実際に切り離す」のが困難です。これは下の2つの理由によります。

  • 作業内容が「物理的」に難しい
  • 自治体の許可が「法律的」に下りにくい

まず「物理的に難しい」のは納得できるでしょう。連棟の「端っこ」ならまだマシですが「真ん中」となると、極めて困難です。

自治体の許可も、普通の工事より下りにくい

新築でも何でも、工事をするときは自治体への届出が必要です。そして、連棟式建物の切り離しの場合、この許可をとるのが難しくなります。

理由は「建物の耐震性が落ちる」ためです。耐震性が落ちて壊れやすくなると、周辺の住民にとってもリスクとなります。

そのため、工事前の自治体の許可も、通常の工事より下りにくくなります。「このような補強をするから、新築のときと同様に安全である」ということを、信頼できる建設業者や建築士などに説明してもらうことが必要です。

このため、新築での同レベルの工事よりも、費用・時間がさらにかかると思ってください。

連棟式建物の解体のルールは?金額はいくらが目安?

解体

費用相場は、解体のみで60万~250万円

連棟式建物を解体(切り離し)するときの工事費用は、おおよそ60万円~250万円と、かなり幅が広くなっています。これは、下のような諸条件によって費用が変わるためです。

  • 木造かコンクリート造か
  • 何階建てか
  • 延床面積はどのくらいか
  • 地域はどこか
  • 工事しやすい場所か
  • 何軒分取り壊すのか

最後の「何軒分」というのは、たとえば「5軒連なっている」なら、そのうちの何軒分を解体するのかということです。

大抵は木造なので、材質の違いはない

連棟式建物の解体は、大抵「木造」の場合に行われます。理由は下の通りです。

  • コンクリートより解体しやすい
  • 老朽化が進んだ建物ほど、あらゆる条件を超えてでも「切り離して補修する」必要に迫られる

コンクリート造で連棟式建物のものは、その奥が「テラスハウス」などの、比較的おしゃれな物件です。築年数がまだ浅い上、見た目もよく構造も頑丈ということで「無理して解体工事をする必要性がない」といえます。

このような理由から、連棟式建物の解体の実例は、多くが「木造」となります。このため「材質」の違いはありませんが、その他の条件によって違いが出るため、費用の相場も幅が広くなるわけです。

「水道管の新設」などが必要になることも

水道管

連棟式建物の解体で大変なのは「壊すだけ」ではありません。壊した後に「水道管を新しく引く」などの作業が必要になる点です。

全てのケースで必要になるわけではありませんが、必要になるケースは多くあります。

なぜ水道管が必要になるのか

連棟式建物は、ある意味「アパート」のようなもの。1階と2階を所有していても、要は「2フロアを持つ人たちが集まるアパート」なのです。

ということは「水道管も共有」しています。

  • 道路から「大きな水道管」を引いてくる
  • それを、各戸で「細い水道管」によって分け合う

こうして水を共有しているわけです。しかし、その中で「あなたの持ち分だけ壊す」としたらどうなるでしょう。

  • あなたの部分につながっていた水道管…撤廃する
  • あなたの部分につながる「連棟建物と関係ない水道管」…新設する

上のような工事が必要になります。それぞれ「なぜ必要か」を書くと、下の通りです。

古い水道管の撤廃 しないと「そこから水漏れ」してしまう。撤廃するのは、あくまで「あなたの家に伸びていた細い水道管」だけ
新しい水道管の設置 更地になったあなたの部分の土地を買う人が「水道管がないと困る」ため
売野くん
水道管は「なしのまま売る」というのはダメですか?
不動先生
それでもOKです。ただ、買い手が一気に減ることは間違いありません。

このように、新設については「やらずに売る」ことも可能です。

隣人の同意を得られず契約解除、損害賠償の請求は可能?

これは「連棟式建物 解体」と検索して、1位・2位のいずれかでヒットする質問です。「弁護士ドットコム」に寄せられていたものです。

内容を要約すると、下のようになります。

  • 連棟式建物を売却しようとした
  • 契約まで行った
  • しかし、その後の切り離し工事ができなかった
  • 隣人が同意しなかったためである

これで契約解除となり、その質問者さんは契約相手に対して「違約金を払うことになった」わけです。その金額が130万円だったのですが、「これを、隣人に損害賠償として請求できるか」という質問でした。

弁護士回答…できない

これに対する弁護士の回答は「できない」でした。理由は下の通りです。

  • 隣人には、切り離しを拒否する権利がある
  • そのため、拒否したことに問題はない
  • それで質問者に損害が出ても関係がない

よく考えれば当たり前のことですが、日頃の隣人さんの態度によっては「損害賠償を請求したい」と思うのも自然だったのかもしれません。

心情的な部分までは当然わかりませんが、法的には「請求する権利は一切ない」となります。

不動先生
このように連棟式建物は「非常に面倒」なので、売るのが難しくなるわけです。

連棟式建物は再建築できる?3つのルールを解説

再建築

ある程度、不動産や連棟についての知識がある人なら「再建築ができるかどうか」が気になるでしょう。ここでは、連棟式建物の再建築に関するルールについて解説していきます。

単独では再建築不可、他の所有者との協議が必要

建物がつながっている以上「あなたの持っている部分だけ」を再建築することはできません。工事は「建物全体」に影響が出るため、他の所有者とも話し合う必要があります。

全員が再建築に合意してくれれば、再建築も可能です。しかし、基本的に「建物全体を建て替える」ことになるため、合意がとれることは稀です。

(もちろん、明らかに建物が老朽化しており「全員が建て替えに進んで賛同する」という状況もあります)

「接道要件」を満たせば、戸別の再建築も可能

「建て替えのついでに、もうそれぞれ別の建物にしたい」と思うこともあるでしょう。これも、条件によっては可能です。

その条件とは「道路への接し方」。これを「接道要件」といいます。

接道要件とは?

これは「幅4m以上の道路に、2m接している」ということ。

  • あなたの家の前に「幅4mの道路」が走っている
  • あなたの家が、その道路につながっている
  • そのつながっている部分の幅が「2m」ある

上記のような条件です。4m・2mというのは、もちろんそれ以上でもOKです。これらは「最低の横幅」となります。

大手不動産会社の説明

野村不動産グループが運営するノムコムでは、下のように説明しています。

都市部で指定されている「都市計画区域」では、建築基準法により、住宅など建築物の敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない」と規定されています。これがいわゆる「接道義務」であり、道路にまったく接していない敷地や、2mに満たない間口で道路に接する敷地では、原則として建築確認(建築工事などの許可を受ける一定の手続き)を受けることができません。
おさえておきたい接道義務のポイント・2m以上の間口で「道路」に接することが必要(ノムコム)

そして、連棟式建物の多くは「切り離すとこの義務を満たせなくなる」のです。

通常、連棟式建物は接道要件を満たせない

多くの連棟式建物は「現時点では」接道要件を満たしていないものです。正確には「建物の一部だけが、要件を満たしている」状態です。

たとえば、その連棟式建物が横長の長方形で、下のようにA・B・Cの3つの家が連なっていたとしましょう。

図解

そして、下のような条件だったとします。

  • Aの左に大きな道路(4m以上)がある
  • そこから「細い道路」が横に伸びている

図解すると下のようになります。

図解

B・Cの家の人は、いつも「細い道路」を通って、自分たちの家に入るわけです。このとき、それぞれの接道要件の適否は下のようになります。

  • A…満たしている
  • B・C…満たしていない

そのため、この状態で3つを「切り離した」としたら、それぞれ建物を再建築できるかどうかは、下のようになります。

  • A…できる(接道要件を満たしているので)
  • B・C…できない(要件を満たしていないので)
売野くん
BとCが不利なんですね。
不動先生
はい。なので、このケースで「切り離そう」とすると、BとCは反対し、さまざまな条件を持ち出してくるはずです。

どうすれば、BとCも再建築できるのか

これは「家の前の道路を広げる」ことです。現時点でも「狭い道路」はあります。それを広くすればいいのです。

具体的には「4m以上の道路」にします。今は、Aの家の隣に「縦向き」に4mの道路が走っているだけです。そこに対して「横にも4mの道路を作る」のです。

どうやって4mの道路を造るのか

これは「自分たちの土地を犠牲にする」ことです。もしくは「周辺の土地を買う」ことになります。

しかし、田舎でもなければ「都合よく土地が空いている」ということはないでしょう。そのため、大抵は「自分たちの土地を犠牲にして道路にする」こととなります。

売野くん
ということは、意見が一致するだけでは難しいわけですね。
不動先生
はい。一致しても「そもそも実行できるだけの土地があるのか」ということが問題になります。

このように「意見の一致が難しい」「一致しても、実行が難しい」ということで、連棟式建物を「別々の建物として再建築する」のは、非常に難しいのです。

そもそも「再建築不可」だとなぜ不利なのか

「再建築不可の物件が売りにくい」理由は、下の通りです。

  • 建て替えや増改築ができない
  • つまり「今の家でそのまま住まなければ」いけない
  • いつか倒壊しても「新しい家を建てる」ことはできない
  • そのため、倒壊したらせっかく買った土地が「ただの空き地」になる
売野くん
「家が全壊」しても、新しく建ててはいけないんですね。
不動先生
はい。要するに行政から「この土地の条件では、本来家があってはいけない」と言われている場所なのです。

つまり「行政としては、そこの家を早く処分したい」と思っている、と考えるとわかりやすいでしょう。

  • 処分したいけど、すでに昔から家があるから仕方ない
  • 今ある家については、このまま使うことを認める
  • 代わりに、増改築や新築は認めない

ということです。もちろん、他の段落で説明しているとおり「接道要件などを改善」すれば、再建築不可ではなくなります。しかし、それをやらない限りは「行政から睨まれている土地」のようなものなのです。

そのため、連棟式建物(の一部を切り離した場合)に限らず、再建築不可の物件は売りにくくなります。この点は下の記事で詳しく解説しています。

建て替えできない土地とは、再建築不可物件のこと!新築・増改築ができる条件とは?

2018.10.09

連棟式建物の切り離し・3つのポイントを解説

切り離し

「老朽化がひどい」「権利がややこしいので、個別の建物にしたい」などの理由で、連棟式建物の切り離し工事を検討することもあるでしょう。ここでは、そうした切り離し工事をするときに知っておくべき、3つのポイントを解説していきます。

隣家の所有者に切り離し同意書・承諾書をもらう

当然ながら、建物がつながっている以上「勝手に切り離し」はできません。そのようなことをしたら、残された隣家の側が「非常に弱い壁を、雨風に晒す」ことになってしまいます。「内壁が、外壁としてさらされる」ということです。

そのような工事は当然不可能なため、事前に隣家の所有者に対して「切り離し同意書」もしくは「切り離し承諾書」へのサインをしてもらう必要があります。

「隣家の同意なしで工事可能」と主張されたケース

上の段落のように、切り離し工事をするためには「隣家の所有者の許可」が必要です。しかし「そのような許可は不要」と主張し、業者が工事を進めようとするケースがあります。

これは、Yahoo!不動産で「2戸一の連棟住宅は同意なしに切り離して取り壊す事は出来るのでしょうか?」というタイトルで寄せられた質問に書かれている内容です。箇条書きで紹介させていただくと、下のようになります。

  • 連棟の隣家が売り出された
  • その仲介の不動産屋から「切り離しの同意書」にサインするよう求められた
  • 嫌な予感がしたので断った
  • 後日「隣家を壊して道路をつくる」と、○○建託が来た
  • 反対したが「あなたの同意は不要」と、工事を進めている

上記のような内容です。結論を言うとこれは「業者の側が違法」です。実際に工事始めているという点では「○○建託」が違法ですが、工事を依頼した不動産業者や地主なども違法となります。

故意に法律を知らない不利をしていたのか?

これについては、あくまでWEB上の体験談(質問)を拝読しただけなので、業者が法律を知っていたかどうかまではわかりません。「○○建託」と伏せ字になっていた会社が、大企業だったとしたら故意でしょう。

逆に、大企業風の名前をつけた零細企業であれば「本当に知らなかった」という可能性もあります。また、その建物の登記が「相当に特殊」なものだった場合は、業者の方が正しかった可能性もあります。

(一応上のように書いたものの、そのようなことはまずありません。最初に不動産屋が承諾書にサインを求めてきたことでもわかります)

このようなケースでは、工事に同意しないように

不動産の世界では、たまにこのように強引な業者が存在します。不動産会社の中にも、建設会社の中にも存在するものです。

こうしたケースでは、弁護士など法律の専門家に相談し、くれぐれも工事に同意しないようにしてください。

工事は壁補修と屋根・床下チェックが重要

壁工事

無事に切り離しの同意をもらっても、それで終わりではありません。連棟式建物の切り離し工事は、通常のリフォームなどと比べかなり難しくなります。

特に必要になる作業は下の2点です。

  • 屋根・床下のチェック
  • 壁補修

どちらも重要な理由は理解しやすいかと思います。切り離すのであれば、屋根や床下の構造をよく確認する必要がありますし、特に「切り離した後の壁」の補修は、子供でも想像できるほど重要なものです。

屋根裏・床下のチェックは、通し梁やコンクリート基礎の構造などを確認します。壁補修については、下のような作業を行います。

  • 柱や梁と影の隙間を養生する(コーキングなどにより)
  • その上からトタンやサイデリアを張り付ける

これらの作業はすべて、耐震・防水など、あらゆる防災のために非常に重要なことです。施工業者については安さだけで選ばず、必ず信頼できる業者を探すようにしてください。

連棟式住宅のメリットは?買手側の3つの利点

タウンハウス

連棟式建物を売却するには、その建物のメリットをアピールする必要があります。そのためには、そもそも買手にとって連棟式住宅にはどんなメリットがあるのか、ということを理解する必要があるでしょう。

ここではそのような理由から、連棟式住宅のメリットを解説していきます。

安く買える(コスパがいい)

連棟式住宅のメリットは「安く買える」ということ。何かとデメリットの多い物件ですが、「その分安く買える」というのがメリットとなります。

  • とにかくその地域に住みたい(仕事などの都合で)
  • 家さえあればどこでもいい
  • 安い家がいいが、ボロ家は嫌だ

このような希望を持つ人にとっては、連棟式住宅を混入することには意味があります。最後については、中古の長屋はいわゆる「ボロ屋」のような物件もあるものです。

しかし、老朽化の度合いが同じレベルだったら、普通の一戸建てより連棟式住宅の方が安く買えます。たとえば300万円で一軒家を買うとしたら、下のような違いになるわけです。

  • 連棟式住宅…まあまあ綺麗な家を買える
  • 普通の一戸建て…相当老朽化した家しか買えない

このような理由から「綺麗さ優先」として、連棟式住宅をあえて買うのも一つの選択肢です。

台風などの風揺れに強い(価格の割には)

テラスハウス

これは「おまけ程度のメリット」ですが、連棟で大型の住宅である分、台風などの風の被害は受けにくくなります。コンクリート造の家なら台風で飛ばされる心配はもともとありませんが、木造の古い家では、しばしば飛ばされることがあるものです。

そのような古い築年数の家でも、普通の一戸建てより飛ばされにくいというのが、連棟式建物のメリットといえます。ただ、これは「台風の被害が毎年大きい地域」で「相当に古い建物を買うとき」の話です。

売野くん
まとめると「安い」というメリットがほとんどを占めるわけですね。
不動先生
はい。そのため「とにかく家が欲しい」という人には、逆にいい物件ともいえます。

歴史のある長屋は逆に価値がある

連棟式建物は昔の言葉でいうと長屋です。そして、歴史のある地域の長屋は、普通の建物よりも逆に価値があります。

京都や奈良などは府県全体でそのような場所が多いものです。その他の都道府県でも、鎌倉や妻籠・馬籠などの観光地はもちろん「この都道府県の中で、特に歴史のある街並み」という場所では、逆に長屋が価値を持つことがあります。

「京町家専門」の不動産会社もある

実際、京町家を専門的に扱う不動産会社などもあります。現代風にアレンジするリノベーションを施したり、あるいはそのまま買取・売却の仲介をしている会社です。

このような会社も存在するほどなので、連棟式住宅の中でも「歴史のある長屋」であれば、買うメリットは十分にあるといえます。

不動先生
もちろん、買った後どのように活用するかによります。
売野くん
自分でいいリノベーションができたら、住むにも売るにも良さそうですね。

連棟式住宅のデメリットは?購入者側の3つのリスク

古い長屋

連棟式住宅を売りたいのであれば、その弱み・マイナス面も正確に理解しておく必要があります。ここではそのために、連棟式住宅は購入者にとってどんなデメリットやリスクがあるかを解説していきます。

増改築や再建築などの建て替え工事を、単独でできない

他の段落でも説明してきた通り、連棟式住宅では増改築・再建築など「建て替えの類」が一切できません。正確には「他の所有者全員の許可」が必要になります。

「許可をとればいい」と思うかもしれませんが、こうした工事をしたいときに許可をとるのは極めて難しいものです。

  • そもそも、他の人は工事したくないから、その時点で提案していない
  • ↑(少なくとも必要ではないから、提案していない)
  • それぞれに生活の予定や事情があるので、賛成でもすぐには応じられない
  • 足元を見てさまざまな条件を「ふっかけてくる」人もいる
  • 日頃からコミュニケーションがとれていなければ難しい

特に最後の「日頃からのコミュニケーション」については、最近特にハードルが上がっているでしょう。近所の一軒家でも「知らない人がいる」「挨拶しても返事をしない人がいる」ということは増えたかと思います。

もちろん、その方が「気楽でいい」ということもあり、一概に何がいいか悪いかは決められません。確かなことは、連棟式住宅で将来的に建て替えをしようとすると「ご近所との濃密なコミュニケーションが必須になる」ということです。

売野くん
つまり「昔の人の生活に戻る」感じですね。
不動先生
はい。精神的にも「長屋の生活」になるので、そういう人間関係に憧れる人には、逆にいいかもしれません。

何はともあれ、こうしたコミュニケーションを取っておくことも含めて、「関係者全員の許可をとる」というのは、かなり難しいことなのです。仮にとれるにしても1年~2年がかり程度になることはよくあります。

このような理由から、連棟式住宅は再建築不可の物件と同じように「訳あり物件」として扱われています(再建築不可物件については、下の記事で詳しく解説しています)。

再建築不可の買取業者・おすすめ15選!高値で物件を売れる不動産会社の選び方は?

2018.09.20

隣人との騒音・振動のトラブルが起きやすい

連棟式住宅は全体では「一つの家」です。一応玄関も居住スペースもすべて別々ですが、いわば「二世帯住宅」の他人版といえます。二世帯住宅には「完全分離型」というものがありますが、それに近いといえるでしょう。

壁が隣家とくっついている分、特に「横の騒音・振動」のトラブルは起きやすくなります。一方、上下階はともの「自分の家」なので、上下階とのトラブルが起きにくいのはメリットです。

ただ、このメリットはあくまで「マンション・アパート」と比較した場合のもの。普通の一戸建てなら「横のトラブルもない」(くっついていない)ので、騒音のトラブルがないことについても「普通の一戸建ての方が良い」といえます。

騒音・振動のトラブルの度合いをまとめると…

物件の種別に、騒音と振動のトラブルの度合いを一覧にすると、下のようになります。

一戸建て 一番少ない
連棟式住宅 「縦」はない。「横」はある
マンション 「縦」もある。「横」もある
アパート 縦・横ともに大きい(マンションより)

最後のアパートについては「物件による」ものですが、一般的にマンションよりは防音・防振が弱いといっていいでしょう。

売野くん
こうして見ると、意外と騒音・振動に関しては悪くないですね。
不動先生
はい。普通の一戸建てと比べるせいで不利なイメージがありますが、マンションよりはいいのです。

(なお、途中で登場した二世帯住宅の「完全分離型」については、下の記事で詳しく解説しています)

二世帯住宅の売却を成功させる4つのポイント!売れない原因を解決するコツとは?

2018.11.21

マンションより「単身者が少ない」のがイメージの原因

家族

「連棟式住宅は騒音・振動のトラブルが起きやすい」というイメージは「マンションより単身者が少ない」ということにも由来しています。

  • マンションは自分も隣人も単身者であることが多い
  • そのため「相手の顔を知らない」「家にあまりいない」ということが多い
  • そのため、トラブルが起きにくい

これに対して、連棟式住宅の方は「こちらも相手も家族のことが多い」「相手の顔を知っていることが多い」という理由で、下のようにトラブルが起きやすくなります。

  • 誰かが家にいる時間が長いため、お互いに音が発生しやすい
  • その音を「受け取る側」も、誰かが家にいることが多いので、気づきやすい
  • さらに「相手の顔がわかっている」ため、音を意識・記憶しやすい

マンションとの違いをまとめると、下のようになります。

マンション お互い音が出にくい、出ても気づかれにくい、気づかれても意識されにくい
連棟式住宅 お互い音が出やすい、出たとき気づかれやすい、気づかれたときに意識・記憶されやすい

このような理由から、構造上は連棟式住宅の方が有利なのに「ライフスタイル」の都合で、マンションの方が騒音・振動のトラブルが少ないことが多いのです。

売野くん
もちろん、マンションも「ファミリーばかりの物件」だと違いますよね。
不動先生
はい。ただそうした物件は防音・防振がしっかりしていることが多いですね。しっかりしていない古いマンションは、連棟式住宅のようなトラブルが多くなります。

売却・賃貸しにくい(買手がつきにくい、値段が下がる)

連棟式住宅は、ここまで書いてきたようなデメリットから、売却・賃貸のどちらに出すのも不利となります。もちろん「格安なら買います・借ります」という消費者は存在します。しかし「そのレベルまで値段を下げなければいけない」ということです。

もちろん、これは「売り手のやり方次第」ということもあります。魅力的なリフォームをDIY(自力)ですることで、費用をかけずに魅力的な物件にできるかもしれません。その場合は「普通の一戸建てと同等の値段」で売れる可能性もあるでしょう。

そのように「工夫次第で高く売る」ことはできますが、そうした工夫が必要という点ではやはり「売りにくい」物件といえます。

まとめ

連棟式建物は何かと「厄介な物件」ですが、世界各国にテラスハウスが多くあるように、建築上のメリットがあるのも事実です。また、おしゃれな外見のテラスハウスや、逆に歴史のある和風の長屋であれば、ニーズも十二分にあります。

そのため、リノベーションなどの工夫次第では「高く売れる」ことも多いでしょう。また、「そのままの状態で買い取ってくれる」業者もいるため、そうした業者に売れば「早く片付ける」こともできます。

どのように売るにしても、できるだけ多くの業者の査定を受けるという基本を大切にするといいでしょう。

どのように売るにしても、まずはその手始めとして、一括査定を受けるなどのアクションを気楽に起こしてみてください。

連棟式建物を高く売りたいなら、一括査定を受けるのがおすすめ!

イエウール

ここまで書いた通り、連棟式建物はやり方次第では高く売れます。そして、どのようなやり方で売るにしても、住宅の価値は年々下がっていくため「早く売る」ことが重要です。

そのため、まずは気軽に一括査定から受けてみるのがいいでしょう。上の画像のイエウールなら、簡単な情報入力で全国1700社以上という多くの業者から、最大6社に見積もりをとることができます。

まずは「大体の相場を知る」程度の気楽な気持ちで、かんたんに試していただくといいでしょう。

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