税金や住宅ローンの滞納を続けていると、不動産を差し押さえされてしまうことがあります。このようなとき、不動産の所有者の方が知りたいのは、下のような点でしょう。
この記事では、上記の3つのポイントを中心に「差し押さえ物件を売却する方法」について解説していきます。自身の物件を差し押さえされてしまった、あるいは「これからされそう」という方に、参考にしていただけたら幸いです。
- 差し押さえ物件でも売却できる
- 抵当権が設定されている物件を売るので、任意売却になる
- 差し押さえされたということは、6カ月程度で競売になる
- 競売が始まる前に急いで売却する必要がある
- スピーディーに売るには、弁護士との連携が強力な業者がおすすめ

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Contents
差し押さえされた物件は売却できる
差し押さえ物件でも売却は可能です。通常の物件より少々難しくなりますが、法律的に売れないことはありません。ここではその売り方のルールを解説していきます。
「差押登記を解除」してもらえばいい
差し押さえされた物件には、不動産登記簿で「差押登記」がされています。これを解除してもらえば、売却できるようになります。
解除のためには「債務の支払い」が必要
差押登記を解除してもらうには、債務の弁済(支払い)が必要です。具体的には下のようなことをします。
差押の原因 | 解除のために必要なこと |
---|---|
国税の滞納 | 国に税金を支払う(所得税・相続税・贈与税など) |
地方税の滞納 | 自治体に税金を支払う(住民税・固定資産税など) |
借金の滞納 | 銀行・消費者金融・カード会社などに支払う(ローンなど) |
支払いができない場合はどうなる?
ほとんどの場合、差し押さえをされている時点で、支払いはできないでしょう。「一部の支払い」で免除してもらうことも、差し押さえの前ならできたかもしれません。しかし、差し押さえまで来たということは、大抵その話し合いも難しいものです。
このような場合「急いで任意売却をする」という選択肢があります。これを次の段落で説明していきます。
差押物件でも任意売却はできる
差し押さえされた物件でも任意売却はできます。ここでは、そのルールについて説明していきます。
任意売却(任売)とは?
任意売却とは、簡単にいうと「住宅ローンが残っている家を売ること」です。
- 住宅ローンが残っているなら、その家は銀行のものである
- なので、勝手に売ってはいけない
- それを売れるようにするのが、任意売却
なぜ売れるかというと「銀行の許可をとる」ためです。銀行としては貸したお金が戻ってくれば問題はないため「売って返済してくれるならそれでいい」ということも多いのです。
専門的な説明
任意売却の専門店な団体の説明は、下のようになります。ここまで説明してきた内容と、言っている中身は同じです。
任意売却とは、住宅ローン等の借入金が返済できなくなった場合、
売却後も住宅ローンが残ってしまう不動産を金融機関の合意を得て売却する方法です。
任意売却とは(一般社団法人・全国住宅ローン救済・任意売却支援協会)
なお、任意売却については下の記事でも詳しく解説しています。
競売開始前に売るため、スピードが命
差し押さえをされているということは、近々競売が始まる可能性が高いといえます。競売が完全にスタートしたら、任意売却はもうできません。
そのため、差し押さえ物件で任意売却をする場合は「スピードが命」となります。
「競売開始決定通知書」が届いてからでも間に合う
差し押さえされて競売が始まる段階になると「競売開始決定通知書」という書類が届きます。正式名称は「担保不動産競売開始決定通知」といいます(冒頭に「担保不動産」がついただけの違いです)。
「これが届いたら、もう任意売却はできないのか?」と不安に思うかもしれません。しかし、この段階でもまだ間に合います。
競売までは約6カ月あるため、その前に売る
「競売開始決定通知書」が届いても、競売がすぐに始まるわけではありません。ここから約6カ月程度で始まります。これは下の記述でわかります。
この「競売開始決定通知」が届いたということは、いよいよ競売まで秒読みとなっていきます。このまま何もせずに放置すると、6ヵ月程度で競売により強制的に売却され、自宅から退去しなければいけません。
競売開始決定通知書が届いた [住宅ローン滞納9ヵ月目](一般財団法人・全国住宅ローン救済・任意売却支援協会)
6カ月で「完全に始まる」ことを考えると、実質残された時間は3カ月~4カ月程度と考えるべきでしょう。短期間になりますが、その期間内であれば任意売却はできるということです。
(なお、元の状況によっては任意売却をできないこともあります。任意売却をできないケースについては、下の記事を参考にしていただけたらと思います)
差し押さえされた不動産を売る方法は?3つのポイントを解説
差し押さえの不動産でも売れるということがわかったら、次に気になるのはその「具体的な方法」でしょう。ここでは、差押物件を売るときの3つのポイントを説明していきます。
弁護士との連携が強力な不動産会社に相談する
差し押さえされた不動産を売るには、法律的な手続きが多く必要になります。このため、通常の不動産会社では対応が難しくなります。
そのため、弁護士(法律事務所)との連携が強い不動産会社に相談すべきです。このような会社なら、差し押さえ物件のように法的に複雑な物件でも、スムーズに対応してくれます。

とにかく早く動く(競売が始まったらアウト)
差押物件を売るときは、とにかく「スピード勝負」と思ってください。他の段落でも説明している通り、差し押さえをされた時点で「競売まで秒読み状態」になっているためです。
競売になったら、どんな物件も任意売却より圧倒的に安い値段で買い叩かれてしまいます。そのため、業者選びに時間をかけるよりもまず「競売されない」「任意売却にこぎつける」ことが大事なのです。
差押物件の売却では「質よりスピード」と考えてください。
足元を見る悪質な業者には注意が必要
「とにかく急ぐべき状況」というのは、失敗しやすい状況でもあります。不動産業者の中には、このような状況の物件所有者の心理につけこんで、自社の利益だけを図る業者も、わずかながら存在します。
急ぐことは大事ですが、悪質な業者に引っかからないよう最低限の注意は必要です。
差し押さえの原因は?よくある2つのパターンを解説
まだ差し押さえをされていない場合「そもそも、どんな原因で差し押さえをされるのか」という点が気になるでしょう。ここでは、差し押さえの原因としてよくあげられる2つの内容を解説していきます。
税金の滞納(国・地方自治体の両方)
税金には多くの種類がありますが、そのどれであっても、滞納を続けていると不動産を差し押さえされます。これは国税でも地方税でも同じです。それぞれの種類の例を書くと、下の通りです。
国税 | 所得税・相続税・贈与税・法人税 |
---|---|
地方税 | 住民税・固定資産税・個人事業税・法人住民税 |
他にも「自動車税・自動車重量税」など多数の税金があります。しかし、差し押さえまで行くレベルというと、上記のような税金となります。
国税・地方税を両方滞納している場合はどうなる?
これはケースバイケースです。金額や滞納期間に応じて、双方が話し合って「取り分」を決めると思われます。私企業ではないため「早いもの勝ちで差し押さえする」ということはないでしょう。
抵当権の実行
住宅ローンを借りて家を建てた場合、その家には銀行の抵当権が設定されています。ローンの支払いが滞ったときには、銀行はこの抵当権を実行できるのです。
抵当権の実行とは、要するに「差し押さえ」のことです。「民間による差し押さえ」では、このパターンが最も多くなります。
(なお、上記のように住宅ローンの支払いが苦しくなった場合の対策については、下の記事で詳しく解説しています)
補足…消費者金融などの滞納で、差し押さえはない?
消費者金融や銀行のフリーローン(住宅ローンではない)の滞納でも、差し押さえは稀にあります。「不動産担保ローン」というものがあるためです。
下の画像は、アイフルの「不動産担保ローン」です。「事業サポートプラン」ということで事業所得者向けですが「個人事業主」も対象となっています。
画像引用元:事業サポートプランプラン・不動産担保ローン(アイフル)
個人事業主の持っている不動産といえば、店舗以外では自宅が主なものでしょう。そのため、こうしたローンで借り入れをしていれば、「消費者金融からの借り入れで抵当権が設定される」わけです。
そして、その返済が滞れば、銀行の住宅ローンのときと同様に、差し押さえをされることになります。


まとめ
ここまで書いてきた通り、差し押さえされただけでなく、「競売開始決定通知書」が届いた物件でも、まだ売却はできます。大事なことは焦らずに、打つべき手を迅速に打っていくことです。
そのようにスピーディーな問題解決を図るためにも、まずは弁護士事務所との連携が強い不動産会社に、相談することから始めてみてください。