償却資産税の計算は、下の式で行います。
課税標準額×税率
それぞれの単語の意味は下の通りです。
課税標準額 | 「評価額の合計」のこと |
---|---|
税率 | 1.4%(一部の自治体では1.5%) |
つまり「評価額の合計×1.4%」が、一般的な償却資産税の税額となります。


(なお、償却資産税の計算について調べている方は、この税金の概要は理解しているはずなので、概要については割愛します)
Contents
償却資産税の評価額の計算方法
償却資産の評価額は、下の計算式で出します。
取得価額×減価残存率
それぞれの言葉の意味は下の通りです。
- 取得価額……購入金額
- 減価残存率…割引率(のようなもの)
減価残存率は「前年中・前年前」の2通り
上の計算式をさらに正確に書くと「いつ買ったか」によって、下の2通りがあります。
去年買った | 取得価額×前年中取得分の減価残存率 |
---|---|
去年より前に買った | 前年度評価額×前年前取得分の減価残存率 |
太字の部分だけが違います。減価残存率には、下の2種類があるのです。
- 前年中取得分
- 前年前取得分
この2種類の減価残存率さえ理解すれば、償却資産税の計算ができます。
(取得価額は買ったときの金額そのままなので)
「前年中取得分」の減価残存率
減価残存率は、その償却資産の耐用年数で決まります。耐用年数が1年増えるたびに変わりますが、キリのいい数字で一覧にすると以下の通りです。
耐用年数 減価残存率 2年 0.658 5年 0.815 10年 0.897 15年 0.929 20年 0.945 30年 0.963
これを先ほどの計算式「取得価額×前年中取得分の減価残存率」に当てはめると、下のようになります(耐用年数10年の場合)。
取得価額×0.897=評価額
不動産で耐用年数10年の償却資産は、たとえば「飲食店用の木造建物」などです。仮にその建物を1000万円で手に入れたとしたら、評価額は下のようになります。
1000万円×0.897=897万円
これで「評価額=897万円」となり、そこに税率1.4%を掛けるので、償却資産税は下のようになります。
897万円×1.4%=12万5500円
本当は「12万5580円」ですが、100円未満の端数は切り捨てるので、上記のように「12万5500円」となります。
「前年前取得分」の減価残存率
「去年より前に買ったもの」だと、減価残存率は下のようになります(これもキリのいい年数だけで一覧にします)。
耐用年数 | 減価残存率 |
---|---|
2年 | 0.316 |
5年 | 0.631 |
10年 | 0.794 |
15年 | 0.858 |
20年 | 0.891 |
30年 | 0.926 |
※表の出典は前の段落と同じく藤沢市のものです。
先ほどと同じように「取得価額…1000万円、耐用年数…10年」という条件で計算すると、下のようになります。
- 1000万円×0.794=794万円(これが評価額)
- 794万円×1.4%=11万1100円(これが償却資産税)
今回も端数として「60円」が出ますが、それを切り捨てています。
ここまでのまとめ(結論…耐用年数がわかればいい)
ここまでの内容を一度おさらいすると、下のようになります。
- 償却資産税額は「課税標準額×税率」で出る
- 税率はほぼ1.4%で固定
- つまり、計算式は「課税標準額×1.4%」である
- よって「課税標準額」がわかればいい
そして、課税標準額は「評価額の合計」です。資産が複数あれば、それらの評価額を合計します。このため「評価額の出し方」が重要になります。
- 評価額は「取得価額×減価残存率」で出る
- 取得価額は「買った時の金額」そのままである
- つまり、特に計算する必要はない(領収書を見るだけ)
- となると、重要なのは「減価残存率」である
そして、減価残存率が何で決まるかというと「耐用年数」なのです。「前年中・前年前」の2通りがありますが、この区別は誰でも簡単につきます。「去年買ったか、それ以前に買ったか」だけだからです。
となると、残る課題は「耐用年数を知ること」となります。「この資産だと耐用年数は何年か」がわかれば、それで償却資産税が出るのです。
資産別の耐用年数・一覧
ここでは、償却資産の種類別に耐用年数を一覧にしていきます。ジャンルで分けると以下の通りです。
- 建物
- 建物附属設備
- 構築物
- 利用用途(住宅・工場・飲食店など)
- 構造(木造・鉄筋など)
- 果樹棚・ポップ棚…14年
- その他のもの…17年
- まず「耐用年数」を調べる
- それで「減価残存率」がわかる
- 「取得価額×減価残存率」で評価額がわかる
- このやり方で、すべての資産の評価額を出す
- 「評価額の合計×1.4」で、償却資産税額がわかる
建物
建物の耐用年数は、下のような条件によって変わります。
ここでは「住宅用」に絞って、構造別の耐用年数を一覧にします。
木造・合成樹脂製造 | 22年 |
---|---|
木造モルタル造 | 20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
れんが造・石造・ブロック造 | 38年 |
金属造 | 19年~31年(※) |


肉厚 | 耐用年数 |
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3mm以下 | 19年 |
3mm超~4mm以下 | 25年 |
4mm超 | 31年 |
後はこれらの耐用年数から「減価残存率」を出し、評価額を計算するだけです。
建物附属設備
建物附属設備の耐用年数は、種類ごとに下のようになっています。これは住宅用・店舗用などは関係ありません(最後の店舗簡易装備は例外)。
給排水・衛生設備、ガス設備 | 15年 |
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電気設備(蓄電池電源設備) | 6年 |
電気設備(上記以外) | 15年 |
アーケード・日よけ設備(主に金属製) | 15年 |
アーケード・日よけ設備(上記以外) | 8年 |
店舗簡易装備 | 3年 |
構築物
構築物の耐用年数を一覧にすると、以下の通りです。
主にコンクリート造・石造・ブロック造・れんが造 | 14年、17年 |
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主に金属造 | 14年 |
主に木造 | 5年 |
土管が主 | 10年 |
その他 | 8年 |
構築物はこのように、ほとんど「素材や製造法」によって決まっています。一番上の「コンクリート造~れんが造」が2種類の耐用年数になっているのは、下のような区別があるためです。
構築物の耐用年数は、国税庁の公式ページでも「農林業用のもの」しか書かれていないため、農家の方以外はほとんど関係ないと思って下さい。
まとめ
以上、償却資産税の計算方法を紹介しました。最後にポイントをまとめると、下のようになります。
上記のように、主に4回の計算・調査をすればいいということです。最後の1.4が自治体によっては1.5であるなどの多少の違いはありますが、ほとんど上の手順で計算できると思って下さい。