土地の借地料の相場は「1年間の公租公課の3~5倍」です。公租公課とは「固定資産税・都市計画税」を指します。両者の合計金額の3~5倍を1年の借地料にする、ということです。
最初にポイントを箇条書きすると、下記のようになります。
以下、上記の4つのポイントも含めて、土地の借地料の相場について詳しく説明していきます。これから土地を借地に出そうと検討している方には、特に参考にしていただけるでしょう。

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Contents
まず、公租公課倍率法で計算してみよう
まず、実際に公租公課倍率法で計算してみましょう。計算のポイントをまとめると、下記のようになります。
- 「固定資産税評価額」が基準になる
- 固定資産税の税率…1.4%
- 都市計画税の税率…0.3%
- 合計1.7%の3~5倍なので、借地料は「5~8%」
- 評価額1000万円の土地なら、借地料の相場は年間50~80万円
以下、詳しく見ていきましょう。
「固定資産税評価額」が基準になる
土地を持っている人なら「固定資産税評価額」は把握しているでしょう。公租公課倍率法ではこの評価額が基準になります。
固定資産税の税率…1.4%
固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で決まります。たとえば1000万円の土地を持っていたら固定資産税は14万円(年額)です。
都市計画税の税率…0.3%
都市計画税は「固定資産税評価額×0.3%」で決まります。上と同じく1000万円の土地だったら、年間3万円となります。
合計1.7%の3~5倍なので、借地料は「5~8%」
上記の2つの税率を合計すると、1.7%になります。そして、公租公課倍率法ではこの「1.7%の3~5倍」が、年間の借地料の相場となります。
- 1.7%×3=5.1%
- 1.7%×5=8.5%
このように「5.1%~8.5%」となります。公租公課倍率法はあくまで目安なので、細かい数値は切り捨てて考えるべきです。そのため、「5~8%」が相場となります。
評価額1000万円の土地なら、借地料の相場は年間50~80万円
固定資産税評価額が1000万円の土地に5~8%という倍率を当てはめると、50~80万円となります。これが年間の借地料の相場です。
以下、1000万円以外の評価額での相場も一覧にしていきます。
土地の評価額別・借地料の相場一覧
上で説明した方法で、土地の評価額別の借地料相場をまとめると、以下のようになります。
固定資産税評価額 | 年間借地料相場 |
---|---|
500万円 | 25~40万円 |
1000万円 | 50~80万円 |
2000万円 | 100~160万円 |
3000万円 | 150~240万円 |
5000万円 | 250~400万円 |
1億円 | 500~800万円 |
あくまで大雑把な目安ですが、土地を借地に出すかどうかなどの検討には十分使える数値です。
土地の借地料相場・4つの計算方法



ここでは、上記の4つの方法について解説していきます。
積算法
積算法とは、以下の式で計算するものです。
地代=更地価格×期待利回り+必要経費(公租公課)
「積算」という名前の意味は「積み重ねて算出する」ということです。期待利回りに必要経費を積み重ねて(上乗せして)算出する、ということですね。
期待利回りは一般的に「2%」とされます。もちろん「もっと稼ぎたい」という場合は大きく設定してもかまいません。これは土地のオーナーの自由です。
ただし、そうすると地代が高くなります。借り手がつかなければ収入はゼロですから平均的な2%か、借り手がつく程度に低い利回りに抑えた方がいいわけです。
更地価格が1000万円の土地の場合
仮に更地での価格が1000万円の土地だったら、積算法の計算式は下記のようになります。
地代=1000万円×2%+必要経費(公租公課)
必要経費はいろいろありますが、ここではわかりやすく「公租公課だけ」にしましょう。公租公課は「固定資産税・都市計画税」のことでしたね。
そして、両者の合計税率は「1.7%」です。1000万円の1.7%は17万円なので、式は下のようになります。
地代=1000万円×2%+17万円
1000万円の2%は20万円なので、
地代=20万円+17万円=37万円
となります。これ年間の賃料なので、37万円÷12カ月で、1カ月あたり約3.1万円となります。




「固定資産税評価額」ではなく「更地価格」であることに注意
最初に説明した公租公課倍率法では、基準になる金額が「固定資産税評価額」でした。いわゆる「国が決めた金額」です。
一方、積算法で使うのは「更地価格」です。これは、その土地を更地で売却した時にいくらになるか、といいう価格になります。
これはその時々の市場の相場で決まるものなので、同じ土地でもいくらと決まっているわけではありません。たとえば東京なら東京オリンピック以後は安くなるなどの変化が考えられます。
このように、積算法で計算する場合「更地での売却価格」も考える必要があります。更地の売却については下の記事でまとめているので、興味がある方は参考になさってみてください。
賃貸事例比較法
これは「周辺の事例と比較する」ものです。「計算しなくていい」という点では一番楽な方法ですが、代わりに「周辺の事例を集める」努力が必要です。
事例を集める方法で一般人でもできるものは「不動産情報サイトを見る」ことです。情報サイトでは賃貸物件の賃料だけでなく、借地の賃料も書かれていることが多くあります。
そこから自身の土地の周辺の事例をみて、参考にすればいいのです。ただ、賃貸事例比較法にはデメリット(注意点)もあります。
地域によっては事例が少ない
田舎の物件は都会と違ってほとんど動きません。そのため、情報サイトで事例を探しても見つからない、あるいは少数しかないということがあります。
同じエリアでも土地の条件によって相場が異なる
当然ながら、賃料はエリアだけで決まるわけではありません。下のような条件によって大きく変わります。
- 駅からの距離
- 景観の良さ
- 周辺施設
- 地盤の良さ
広さについては単純に掛け算・割り算をすればいいので、大きな違いにはなりません。しかし、上記の4つの点などは、同じエリアで同じ広さだったとしても、借地料を大きく変える要素となります。
「路線価」を参考にするとわかりやすい
上記のようなすべての条件を考慮すると概算がしにくいものです。そのため、大雑把な計算では「路線価」を用いましょう。路線価とは「道路に面する宅地 1平方メートルあたりの評価額」です。
路線価は国税庁によって公表されています。これを見れば、同じエリアの他の土地と自分の土地を比較して「価値がどのくらい違うか」がわかるのです。その違いを考慮して計算すれば、賃貸事例比較法でも借地料の相場をつかみやすくなります。
収益分析法
これは「その土地に建物を建てた場合の収益を想定する」方法です。かなり大雑把に書くと、下のような発想になります。
- その土地にアパートを建てるとする
- それで毎年100万円の家賃収入が見込めるとする
- つまり、そこにアパートを建てる借り主は、毎年100万円稼げる
- だったら、毎年50万円の借地料はとれるかもしれない
このような考え方です。わかりやすく50万円としましたが、実際には20~30万円程度になるでしょう。アパートの運営コストは借地料だけではないからです。
この方法で借地料を計算するのは、一般人では難しいものです。「その土地にどんな建物を建てるか」「どんな層をターゲットにするか」などによって、想定収益はまったく異なるためです。
そもそも建物も、単純に「アパート・ビル」などと考えるわけではありません。その土地の「容積率・建ぺい率」などから、下のようなことも考えるのです。
- どの広さまで建てられるか
- 何階建てまでOKか
- 最上階の屋根の角度は何度までOKか
こうしたシミュレーションは素人ではできないため、不動産鑑定士などの専門家に依頼すべきといえます。
公租公課倍率法
公租公課倍率法は最初に説明した通りの方法です。「固定資産税評価額の5%~8%」が年間借地料の相場になると考えてください。
土地の利用用途別・借地料の相場
借地料の相場は、特に収益分析法を使う場合、利用用途によって変わってきます。土地を貸し出すときの借り主の利用用途は主に下のようなものです。
ここでは、それぞれの利用用途ごとに借地料の相場を解説していきます。
駐車場
駐車場(大型駐車場)の用途で土地を貸す場合の借地料の相場は、千葉県・埼玉県・神奈川県などの首都圏の場合、下記のようになります。
面積 | 借地料(月額) |
---|---|
290坪 | 36万円 |
250坪 | 27万円 |
150坪 | 20万円 |
280坪 | 35万円 |
215坪 | 26万円 |
上記の相場は、2018年9月時点での一部の物件の賃料・面積を簡単な数字にしたものです。実際には立地条件などによって大きく変化します。
太陽光発電
太陽光発電用として貸し出す場合、政府機関によって信頼できる目安が報告されています。「1平方メートルあたり、年間150円」という借地料です。
たとえば1000平方メートルの土地であれば、年間の地代収入は15万円となります。あくまで目安ですが、政府機関による数値なので信ぴょう性は高いといえるでしょう。
(なお、政府機関とは経済産業省の「調達価格等算定委員会」のことで、上記の数値は2014年のものです)
資材置き場
資材置き場として貸し出す場合、借地料の相場は下記のようになります(駐車場と同じく首都圏で2018年9月時点の一部のデータです)。
面積 | 月額賃料 |
---|---|
85坪 | 10万円 |
150坪 | 16万円 |
190坪 | 13万円 |
240坪 | 25万円 |
630坪 | 30万円 |
近隣に資材置き場を必要とするような事業者が存在するようであれば、空いている土地を資材置場として貸し出すメリットは大きいでしょう。
コンビニ
コンビニに土地を貸す場合、借地料の相場は下記のようになります(あくまで目安です)。
貸出方式 | 月額借地料 |
---|---|
事業用定期借地方式 | 固定資産税額の3~5% |
リースバック方式 | 約80~100万円 |


事業用定期借地方式 | 土地だけ貸し出す |
---|---|
リースバック方式 | 店舗を自分で建てて、土地と一緒に貸し出す |
要は、下のように「貸し出すもの」が違うということです。
事業用定期借地方式 | 土地 |
---|---|
リースバック方式 | 土地+建物 |
事業用定期借地方式は他の利用用途の計算とほぼ同じ
まず「土地だけ貸す」やり方の事業用定期借地方式については、ここまで書いてきた他の利用用途での計算方法とほぼ変わりません。特に公租公課倍率法の「公租公課の3~5%」というやり方が一番わかりやすいでしょう。
他の用途の場合は「5~8%」が目安ですが、コンビニに貸す場合は3~5%が平均的とされています。
リースバック方式は収益が増えるが初期投資も多い
先程の計算はあくまで例ですが、リースバック方式なら月額で80~100万円程度の収益を得られることもあります。ただ、建物を建ててからコンビニ側に貸し出すため、その初期投資が必要です。
初期投資の費用は大体2500万円~4000万円程度とされており、毎月100万円の利益が出たとしても、回収するのに2年~3年半ほどかかります。人によっては「そんな短期間で完済できるのか」と驚くでしょう。
ただ、これは順調にいった場合であり、順調な場所には「他のコンビニも出店する」「同じコンビニの別店舗がすぐ近くに出店する」などのリスクが考えられます。
コンビニ側はトータルで利益が出ればいいため、個別の店舗の経営が苦しくなろうとかまわないのです。コンビニとうまく共存して利益を出しているオーナー・所有者もいますが、中にはトラブルになって裁判に発展しているオーナーもいます。
特にコンビニに対してリースバックで土地(&建物)を貸し出す場合は、こうした実情もよく考えて、成功するかどうかを慎重に計算しましょう。
土地の借地料相場に関する用語解説

以下、それぞれの用語について詳しく解説していきます。
権利金
権利金とは、土地を貸す時に「最初にもらうお金」です。ポイントをまとめると下記のようになります。
- 借地料(賃料)とは別のものである
- 敷金とは違う
- 契約期間が満了しても返還されることはない
権利金は法律的に決まっていることではなく、社会的な慣行です。特に都市部でよく見られます。
このため、借り手には支払い義務はないのですが、拒否すると取引が成立しないことが多いものです。そのため、「賃料の一部」と考えて支払うケースが多くなっています。
保証金
土地を貸す時の契約によっては、貸主・地主が保証金を要求することもできます。保証金の相場は地域や物件によって異なり、相場は特にありません。
強いて言うなら地代の半年分・一年分などとなります。保証金の設定については、内容次第でうまくリスクを回避できることもありますが、借主がつかなくなる可能性もあります。そのため、設定するのであれば不動産会社などのプロのアドバイスをもらうようにしましょう。
底地
底地とは、土地のオーナーが第三者に貸し出して地代を得ている土地のことです。わかりやすくいえば借地のほとんどは底地です。
土地を貸し出すと、底地権が残る代わりに、利用権は失われます。利用権は土地の借り主にあるものです。底地権を持つ土地の所有者は、地代をもらう権利があります。
まとめ
以上、土地を貸し出すときの借地料の相場についてまとめてきました。最後に要点を整理すると、下記のようになります。
- 「公租公課倍率法」がわかりやすい
- 「固定資産税・都市計画税の合計額」の5~8%が目安
- その他にも3つの計算方法がある
- 駐車場経営など、利用目的ごとの相場もある
基本的には、多くの不動産屋に相談しているうちに、その土地ならではの正しい相場が見えてくるものです。祖父母や親から相続した土地があるなど、土地の使い道を考え中の方は、一度借地に出すことも検討してみてはいかがでしょうか。